第191話 数十年前の喧騒

朝6時30分。

格好のレコードで叩き起こされていたっけ。

丘の上に行ってからは、普通に起こされただけだったか。

まあ、いい。


総括

押し付けで起こされるのは、気分のいいものではなかったな。


それから半世紀近くが過ぎた。

街中にほど近い昔の郊外の住宅地。

今は、街中のうちか。

空襲を免れた細い路地を折れては行った先のアパートの一室。

時刻は今、6時30分。雨も降っているようである。

静かな静かな、少しばかり街はずれの住宅地の朝ぼらけ。


年を取ると、朝が早い。

今日も6時には起き上がった。

身体が、横になることを許してくれぬ。

30歳も若ければ、喜んで寝ていた時間だぜ。

要は、朝からしっかり仕事しな、ってことだね。


あの地の喧騒は、何だったのだろうか。

ふと思う。秋の夜長を走った後の朝のひと時。

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