夕雪のゆるっと読書録

18 すばらしい季節(ターシャ・テューダー)

　すばらしい季節／ターシャ・テューダー作 末盛千枝子訳／現代企画室、36ページ

　移ろう四季を五感すべてで存分に感じる、農場に住まう少女の「眼差し」が大変に美しい絵本作品。

　ターシャ・テューダーは言わずと知れたアメリカの有名な絵本作家です。

　人形作家・園芸家としてもよく知られていますね。

　九十二歳まで自分のライフスタイルを貫きとおした、パワフルな女性でもありました。

　それにしても、作中に描かれるコーギーも猫もすごくかわいらしいです。

　ターシャが、生き物をとにかくそのままスケッチすることが大事だとどこかで言っていたのを聞いたことがあります。それを実証するように本当にもう絵がうまいのです。描かれる動物たちとその動きはとても生き生きとしています。

　絵本の中に流れる空気は、一貫して清らかで素朴で穏やか。イメージされる古き良きアメリカ……と言った感じでしょうか。素敵な空気感です。

　構図としてはあっさりとしたイラストが続くけれど、それは季節の空気を描いているからこそだと感じられます。

　作者の他の作品「コーギビルの村まつり」「パンプキン・ムーンシャイン」も楽しい絵本です。

　素敵なイラストと優しく楽しい空気を感じられる絵本です。