第19話 情報共有と予定変更

 建物に入ってから驚きの連発だったが通された部屋もまた凄まじいな、シャンデリア・ベッド・ソファー・カーテン、この中にある全ての物が高級品だろ、幾ら審美眼のないオレでもわかる。

 ―――だってここ、建物の最上階特別室って案内をしてくれたイケオジ、もといオーナーのバンクスさんが言ってたし……オーナーが案内してくれてたんだよな、去り際に


わたくしオーナーの、デイヴィッド・バンクスと申します。御用が出来ましたら恐れ入りますが、此方のベルを鳴らして頂いてもよろしいでしょうか、直ぐにお伺い致します」


 緊張でご挨拶が遅れて申し訳ありませんって笑顔で言ってたけど、カワイイかよ!離れる際にオーナーであることをカミングアウトとか心臓に悪過ぎるわ!


「うわぁぁすごい……テラスに湖を一望出来る温泉付き」


「広々としてるしリビングに置かれたソファーも大きくてゆったり出来るわね」


「すごい、外だけじゃなく室内にまで温泉を通してる」


 女性陣のメンタルがすげぇ、バンクスさんが戻ったあとに色々と見て回ってる、オレはこの部屋が放つオーラで縮こまってるのに、そう言えば服に着られるなんて言葉があったな、差し詰め今のオレは、部屋に置かれてるって感じか……アホか。


「そういえば教えたい事があるって言ってましたよね、どんなことです?」


 完全に建物と部屋に圧倒されて忘れてた、お互いの能力を正確に共有しとかないとだ。


「前に見た、オレ達のステータスは覚えてるだろ?」


「はい、明らかにDランクのそれとは逸脱してたやつですよね」


「そう、それの本気出した時のステータスとスキルの開示さ」


【名前】 カズシ ナナセ

【レベル】 18

【HP】2136 【MP】611 【力】1239 【魔力】460 【俊敏性】1137 

【体力】919 【魔法抵抗力】689 【物理攻撃力】1239+350 

【魔法攻撃力】460 【防御】460+20 【魔法防御】345

【スキル・魔法】

 剣術【達人】 徒手空拳【達人】 状態異常完全無効化【ユニーク】

 闘気Ⅰ【ユニーク】 風刃Ⅰ


「本当に凄いステータス…………んっ!?なにコレ!!」


「あれ? これっていつ覚えたんですか?」


「ん? 何のこと?」


 アヤカが指差す部分に目をやると【風刃Ⅰ】とステータス上に表示されてる。


「なんだこれ、オレもいつ覚えたか分からないスキルだ、効果は……」


【風刃Ⅰ】離れている相手に剣圧の刃を当てる


「中・遠距離攻撃のスキルみたいですね」


「これは良いスキルだな、剣を使ってまさか射程のある攻撃をして来るとは中々思わんだろうし」


「いやいやいやいやいや! そこじゃなくてその前! ユニークって書いてあるやつ!」


 ……あぁそうだった!オレ達の持ちスキルの説明をしてたんだった、新スキルを見てすっぽ抜けてた。

 話題を振って来たアヤカも思い出したのかハッとして、手を合わせて「ごめんなさい」と呟きながら少しだけ後ろに下がる。


「話がそれてごめん、今からスキルを使うからステータスの数値を見てて」


(コクコク)


闘気Ⅰスキル】発動


【名前】 カズシ ナナセ

【レベル】 18

【HP】2136 【MP】611 【力】1239+372 【魔力】460 【俊敏性】1137+342 

【体力】919+276 【魔法抵抗力】689 【物理攻撃力】1611+350 

【魔法攻撃力】460 【防御】598+20 【魔法防御】345

【スキル・魔法】

 剣術【達人】 徒手空拳【達人】 状態異常完全無効化【ユニーク】

 闘気Ⅰ【ユニーク】 風刃Ⅰ


「はぅわっ!?」


 驚くと同時に耳と尻尾をピーン!と伸ばしてステータスを凝視するティナ、うんカワイイ。

 ゆっくりこちらを向こうとしてるけど動きがかなりカクついてる。


「あ…あ……あの…」


「はいお水です」


 アヤカから手渡された水をゆっくり飲み干したあと一呼吸置いて聞いてくる。


「ぷはぁ…今のは現象は一体、それにユニークスキルを2つ持ちって」


「まずは使ったスキルから説明するよ、今の数値が跳ね上がったのがスキル闘気だ」


「闘気……」


「効果は単純、力・俊敏性・体力が1.3倍になると同時に関連数値の上昇と、ステータスには無いけど素早さにも補正が掛かってる」


「1.3倍!? めちゃくちゃな上昇率じゃないですか! あっ、でもリスクとかがあるんじゃ?」


「今の所は発動時に生命力の5%を消費するだけ、使った瞬間少し疲労感が出るくらいだ、まぁスキルが成長してくとどうなるかは分からないけど」


「これほどのスキルをそれくらいの代償で使えるって……」


「本気出されたら攻撃自体当てられないかもって理由がコレだからねー」


「現状オレの切り札と言えるスキルだ、そしてもう一つが状態異常完全無効化、これは文字通りの意味だ」


「文字通りってことは状態異常効果は一切効かないってこと?」


「どうだろう、効かないのか若しくは効いても無力化されてるだけなのかは分からない、ただ説明を見る限り、オレに状態異常効果は出ないのは間違いないかも」


「かも?」


「状態異常らしい攻撃や罠を受けたことが無いから」


「あぁ…確かに自分から受けたいとは思わないですね」


 確認しときたいんだけど万が一って事もあるし怖いんだよな。


「なら次は私が、私とユウカは数値には一切変化が無い物ですよ」


【レベル】 18

【HP】884 【MP】658 【力】724 【魔力】596 【俊敏性】620 

【体力】423 【魔法抵抗力】539 【物理攻撃力】724+180 【魔法攻撃力】596

【防御】212+230 【魔法防御】270

【スキル・魔法】

 ・護身術 ・初級魔法(水)(風) ・ストレージ・スペース【ユニーク】

 ・魔力干渉Ⅰ【ユニーク】


「ストレージ・スペース!? それに魔法も!」


 剣しか使ってなかったから魔法を使えるとは思わないよな、アヤカもオレと同じで、何かあった時の切り札にしてるっぽいし。


「それだけじゃないさ、野外でもアヤカが美味い料理を作ってくれるから、このパーティーは旅が成り立ってるんだ、逆にオレは戦闘以外ほぼダメだから」


 料理を褒められて若干照れるアヤカ、見知らぬ世界での食材で美味い料理を作ってくれるからこそ旅の活力にもなるし、本当にありがたい。


「あれだけ強ければ十分かと……でも料理まで出来るんですね、それとこのストレージ・スペースって、容量はどれくらいあるんですか?」


「今両方の説明を出しますね」


 ・ストレージ・スペース【ユニーク】

 :物を無限に広がる別空間に保管できる、ただし魔法自体をこの中に入れる事は不可能、この中で保管している物は入れた時のままで一切時間経過しない、必要な物の名前や形を念じれば取り出すことが可能、又、アイテムの一覧表示も可能、保管アイテムや保管スキルの中では最高峰の効果を持つ


 ・魔力干渉Ⅰ【ユニーク】

 :魔力で起こる事情に自分の魔力を当てる事で強制的に干渉出来る

 Ⅰ:単一事象破壊


 映し出された説明に目を通していくティナ。


「すごい……容量無制限に時間経過も無いなんて、それに魔力を当てる事で強制的に干渉って、これは一体どんな効果なんですか?」


 魔力干渉は説明だけじゃ何のことか分かり辛いスキルだよな、でもその効果の意味が分かるとはかなりエグイものだ。


「Ⅰの状態で出来る事は個人に向けられた魔法の破壊ですね」


「魔法の破壊!?」


 驚くよなぁ魔法を破壊出来ると聞けば


「そうです、私の魔力を魔法に当てる事で破壊出来ます、だからスキルに合うようにこの剣を使ってるんですよ」


 そう言って剣を手に、取り魔力を流す。


「剣が鞭みたいに」


「この状態になると剣には常に魔力が流れますし、私の思念で自在に動かすことも出来ます」


「ふあ~…」


 驚いて言葉を失ってるティナにユウカが続く。


「最後は私、自分ではかなり便利系なスキルだと思ってるかな」


【スキル・魔法】

 ・護身術 ・初級/下級/中級魔法(治癒)(炎)(雷)

 ・マジックキャンセラー【ユニーク】


 ・マジックキャンセラー【ユニーク】

 効果:魔法全ての硬直を破棄することが可能


 ・鑑識眼Ⅱ【ユニーク】

 効果:対象の情報が分かる

 Ⅰ:対象の名前とランク表示・罠の有無・アイテム効果とレアリティの表示

 Ⅱ:アイテムの価値を表示


「…………………」


「あれ?…ねぇティナ、大丈夫?」


「……………」


 情報量が多過ぎたのか前と同じようにキャパオーバーのフリーズに、まぁ無理も無いか全員が全員特殊スキル持ちとか普通に考えれば異常だと思うし。

 その後各々ティナに声を掛けたり揺さぶったりして現実に帰還させるのに、少しだけ時間が掛かった。


 ―――――――――


「それじゃ今後の行動についてなんだけど、少し変更しようと思う」


「変更? 何を変更するの?」


「元々武器の為にガルバドールにって話だったけど、それを一度無しにして、ティナのレベルアップと金策をしようかなって思うんだけど、どう?」


「うぅ…弱くてすみません、でも私に気を使わなくていいのでガルバドールに向かいませんか?」


 狐耳が元気なく垂れて謝罪をしてくるが、決して気を使ってる訳じゃない、パーティー全体の事を考えるとそうなるだけの話しだ。


「いや、気を使ってる訳じゃないよ、それに弱いのが悪いんじゃなく、皆最初は弱いんだ、その事を理解しないで無茶な依頼や行動をすれば、命を落とす率が跳ね上がる」


 オレだって最初から強かった訳じゃない、ほぼ毎日じいちゃんに修行させられて強くなったんだ。


「無茶な依頼や行動ですか?」


「そう、今で言えばガルバドールに向かう事だ」


「??」


 街から街に向かうだけで無茶な行動になるのが分からないって顔をしてるな、この世界基準で言えば、冒険者なのに冒険するのが危険って言われればそんな顔にもなるか。


「多分カズシさんは、戦闘中や咄嗟の時、自分の身を守れるか怪しい状態で旅をするのは、危険なんだって言いたいんだと思いますよ」


 足りない説明をしようとしたらアヤカが補足してくれた、理解が早くて助かる。


「正解、あとは今行ったとしても製作費用が無いからってのも理由かな」


「オーダーメイドの逸品物なら結構いい値段しそうだもんね」


 ユウカが笑いながら言ってるが、ホント特殊な逸品物とか足元見られる予感が半端じゃないんだよな、でもセファートの武器屋を巡ったら


「すまんが無理だ、打てば形こそ寄せられるが、耐久性が段違いに落ちちまったナマクラしか出来ん」


「これだけ薄くて細い剣だと、普通に打ち上げただけじゃ、魔物に一撃入れただけで折れちまうよ、悪いがオレじゃコイツは作れねぇ」


 って断られたからなぁ、正確に事実を言ってくれるからありがたいんだけど、やっぱ刀ってここじゃ異質な物なんだな。

 確か玉鋼を叩いて延ばして炭素量を云々かんぬん……自分でも良く分かって無い物だと説明しようが無いよな、そもそも玉鋼の材料と製法も知らんし。


「あの~もし金策が必要なら、ここから南に行った所にダンジョン都市があるので、そこで稼ぐのはどうですか?」


 少し躊躇いながらダンジョンの情報を口にするティナ。

 ダンジョン……ダンジョンか、今の戦力を役割別にすると。

 接近物理特化がオレ

 近中距離物理・魔法アタッカーがアヤカ

 回復及び魔法特化がユウカ

 ダンジョン内の索敵や探知をティナ

 ユウカとティナをオレとアヤカで前後に挟むようにすればどこから魔物が来ても対処出来るだろう、ダンジョン入ったこと無いから正確には分からんけど。


「ダンジョンか……戦力も役割分担も出来てるし、奥に進み過ぎなければ、ティナのレベル上げだって可能だな」


 そう言うとティナは、意見が認められたことを喜んでいるのか、尻尾がブンブンと振れだす。

 何か大きな犬みたいでいいな……そういえば狐ってイヌ科だったな


「なら行先は、そのダンジョン都市でいいんじゃない?」


「そうね、あとはダンジョン内にある宝箱の罠をどうしましょう」


「私が罠解除を出来ればいいんだけどまだ……都市のギルドでシーフの人を臨時で入れるのが安全だと思います」


 宝箱の罠……ゲームなら解除しないとダメージや状態異常、下手すると即死まであるがオレには一つ考えがあった。


「宝箱の罠はオレがどうにか出来ると思うから任せてくれ」


「え!? 本当なんですか?」


「あぁ、多分大丈夫だ」


「わかりました、あとこれは私個人の意見ですけど、ダンジョンのクリアは目指さないんですか?」


「そうだよお兄、ダンジョンに入るならクリアを目指さないと!」


 ユウカがダンジョンクリアについて少し興奮気味に話す、勿論オレもクリアしたい気持ちはある。

 クリア出来ればダンジョン攻略者としての名を上げる事も、ダンジョンお約束の宝だって入手出来る、だが実際口で言うほどクリアなんて簡単なものじゃないだろう。


「いや、オレ達より強いパーティーだって挑戦してるハズだ、そのパーティーがクリアしてないのに、ぽっと出のオレ達がクリア出来る程甘いものとは思わない。何より今は強くなる方が先だ、クリアはそれからでも遅くない」


「え~~」


 頬を膨らませて抗議するユウカ、自分の実力に自信を持つのは良い事なんだけどコレはなんか違うな、アヤカも多分それに気付いているのかユウカを見て表情を曇らせてる。

 これはダンジョンで勝手な行動を取る前にハッキリ指摘しておく方がいいな。


「ユウカに聞くけど、今の自分の実力を客観的に見てどう思ってる?」


 オレの問に対してユウカは自信満々といった態度で答える。


「そりゃ連戦連勝で向かう所敵無し! 魔物だろうとダンジョンのボスだろうと一撃必殺で仕留めてみせわ!」


 思ってた以上に調子に乗ってるな、しかも全然客観的じゃないし。

 オレはこちらを見ているアヤカに目をやると静かに頷く、これは命に関わる事だし強めの口調で言い聞かせよう。


「調子に乗るな、何が連戦連勝だ、向かう所敵無しだ」


「え……お、お兄?」


 知り合ってから一度もオレに叱られた事の無いユウカが初めてオレに叱られ驚いてる。


「ユウカは今まで自分より強い人や魔物と戦ったことがあるのか?」


「え? いや、無い…と思う」


「そうだ全て自分より弱かったから、怪我も無く魔法で圧倒出来ただけだ」


「うっ」


「人でも魔物でもオレ達より強い存在なんて幾らでもいるぞ、魔物何てその最たる例だ」


「………」


「自分の実力に自信を持つのは良い、だけどそれで調子に乗って天狗になるのは違うぞ、それにダンジョンにどんな魔物が出るかも分からないのに、ボスを一撃必殺? お前はそんなに早死にしたいのか? パーティーを全滅させたいのか?」


「違う! そうじゃない……そうじゃないけど」


「けど?」


「その……ティナも入ったし、ちょっとカッコイイ所を見せようかなと思って」


「はぁ~あのなぁ、オレ達は魔物と命の取り合い、いやもっとはっきり言おう、殺し合いをしてるんだぞ? カッコイイとかそんなのに拘ってたら本当に死ぬぞ」


「貴女は前からそうだったわね、何かが上手くいくと直ぐに調子に乗って突っ走って、そして何処かのタイミングでヘマをやらかす、今回もそうなる前に注意をしようと思ったけど、カズシさんが気付いて指摘してくれたからよかったわ」


「……ごめんなさい」


 オレとアヤカの2人からの説教で一気にトーンダウンするユウカ、オレだってティナが加入したその日の内に、しかもこんな豪華なホテルで説教なんてしたくなかったが締める所は締めないと、何か遭ってからじゃ遅いからな。

 まぁこっちに慣れてきて、元々の性格が出るようになったのは良い事なだけにオレも辛い。


「分かってくれたならいいんだ、オレ達はチームで動いてるから、1人が列を乱すと、連鎖的に乱れることになる、ちょっとやそっとじゃ大きくは乱れさせないし、修正もするけどね」


「はい……」


 さっきとは打って変わって元気が無くなる、お兄と親しく呼んでたオレから叱られたことがかなり響いてる感じだな。

 何処かのタイミングで目一杯褒めて調子を取り戻させてあげないと。


「それじゃこの話はこれで終わりにしよう、強く言ってすまない」


「うぅん、お兄は私達の事を心配して言ってくれてるって分かってるから」


 相手が何を思って言ってるのかを理解してるから根は良い娘なんだよな。


「なら今の事を自分で意識しておかないとダメよ、じゃないとまた忘れてやっちゃうんだから」


「わかった」


 言っておいて今更だが、オレも気付かない内に似たような事をやってるかもしれないから注意しないとな。


「あの、さっきの話になるんですけど、ダンジョン都市への行くとして出発はいつにしますか?」


 説教話で横道にそれてたけどダンジョン都市に向かうって話をしてたんだ。


「そうだな……アヤカ、今ある食材を4人計算にすると、どれくらいもつか分かる?」


「ちょっと待って下さい」


 オレの質問にアヤカは直ぐストレージ・スペースの内容一覧をソートさせて確認してくれる。


「ザックリとですけど、3週間分くらいあるので食材は問題無いと思います、それよりも、ティナさんの食器と毛布なんかが欲しいですね」


 ティナ自身セファートを活動の拠点としてたから、長旅に必要な道具なんか持ってないもんな。


「わかった、なら明日はティナの旅支度をしよう」


「買い物が終わった後はどうするの? 休みにしちゃう?」


「2人は何か他に買っときたい若しくは必要な物はある?」


「特にこれといって、寧ろ必要な物があれば教えてもらえれば助かります」


「私はティナさんの買い物をしながら何かあればですかね、今思い浮かぶ物はないです」


 みんな特になしか、それなら女の子同士の付き合いもあるだろうしそれぞれ自由な方が動きやすいだろうな。


「わかった、そしたら必要な買出しが終わったら完全にオフにして体を休めよう、そして明後日にダンジョン都市に向けて出発でどうだろ」


「わかりました」


「おっけー」


「了解です」


 とりあえずこれで一通りの予定は組めたしあとは。

(きゅぅぅう~)


「「「「………………」」」」


 1人を覗いて音のした方へ首を動かすと。


「……お兄、何か聞こえた?」


「いや何も!」


 反射的に答えたオレの目に映ったのは、自分にゴスゴスと腹パンを入れてるユウカがこちらを睨んでいる姿だった。

 よくよく考えたら昼を取ってから大分時間が経ってる、年齢的にも育ち盛り?だし、何と言うか……申し訳ない、もう夜なんだしお腹も減るよな。


「あ~~今後の予定も決まったし、オレめっちゃ腹減ってるからメシに行こう! オレの財布が許す限り何食べてもいいから!!(棒)」


「わ…わ~嬉しいです! ちょうどお腹も空いてましたし行きましょう!(棒)」


「そ、そうですね! 私も今日は色々あってすごいお腹減ってるんで楽しみだなー!(棒)」


(((チラッ)))


「………ん」


 恥ずかしさからか、真っ赤になった顔を伏せて小さく呟くユウカ。

 次に腹の虫が鳴ろうものなら下手をするとオレに魔法が飛んでくる、それも警告無しで全力のやつが、その事態を回避するためにもオレ達は急いで近くの飲食店へと向かう。

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