モヤモヤときっぱりと
広川 海未
第1話 ♪
4月 木曜
僕は友達の守(まもる)と登校していた。
「なぁ、今日から2年生だぜ!それはそうと、yorudakeのラジオ聞いた?」
「ああ、聞いたよ、あれめっちゃ面白いし、楽しいよね。マジで毎週聞く」
『yorudake』今話題のアーティスト。曲は誰もが知っている小説を音楽にしている。例えば夏目漱石の『坊ちゃん』や太宰治の『人間失格』などだ。僕は小説が好きというのもあっててすぐにyorudakeが好きになった。
「でもさ、yorudakeさデビューして何年だっけ?5年目だっけ?最近さアニソンばっかり作ってる傾向ない?小説を曲にするってコンセプトでしょ?なんかずれてね?」
と僕が聞くと
「そんなことなくね?てかさアニソン聞いて好きになったって人が増えればファンも増えるし俺たちも話しできる人が増えて良いじゃん。あとさボーカルのSujikoの歌がうますぎるからアニソン作ってくれって歌ってくれって依頼が増えてるんじゃない」
守は続けて
「てか、お前は書けんの?yorudakeのHukaseを超える曲」
僕は首を横に振った。
「だろ、書けもしないのに批判するんじゃあないよ!」
守は静かな怒りを僕に向けてきた。
「ごめんて」
僕は謝った。
「いいって。信号青になったし進もうぜ」
僕たちはそのまま学校に向かった。
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