第34話 配信 ~デートなんて許さ~~ん~
今は"次元の鍵"をオルハレスト大神殿の魔道具師シディロムさんに頼んで作ってもらうのを待っていますが、まだまだかかるようです。
そのため、降って湧いたこの時間を利用して、遊神はしれっと化身と入れ替わってアナトとデートするようです。
その衝撃の光景を、配信を通して神様達が固唾を飲んで見守っています。
いや、見守ってないです。
文句たらたらですが、見ているしかないだけです。
情けないです。
あと、この回に『~阿鼻叫喚~』と名付けるべきだったかと冥神様は考えているようです。
それでは『配信 ~デートなんて許さ~~ん~』の始まりです!
えっ?お前は誰だって?
ボクはミルティア(化身)だよ。
敬語くらい使えるさ。
ちょっと語り口調にしてみたんだよ。
今回はボクの回だから、よろしくね!
「遊神……楽しんでますね……」
???:くそ~~~~~~~~~(涙)
???:なんでだ!なんでなんだ遊神ちゃ~~ん!!!(涙)
???:〇ね!アナトーーー!!!(涙)
???:おしりにはさまれて〇ね~~~!(涙)
いや、もう挟まれてるから。
なんでみんな泣いてるんだよ。
あと、茶化してくる戯神がウザいけど、こいつが"おしり"に挟んでる元凶だから。
画面にはボクとアナトがオルハレストの街を散策している姿が映っている。
なんと酷いことに今この神の世界にいるのはボク……これじゃあわからないね……遊神の化身だ。
やっぱり正直に言うよ!どうしてだよ!?
アナトとのデートはボクの役得だよね!!!
って、遊神(本体)に文句を言ったけど聞いてもらえず、強引に交代させられた。
なんか遊神(本体)の方がアナトに惹かれてないだろうか?
ボク(化身)を戻したら感覚も記憶も一体化するから関係ないけど。
「まぁ、化身のボクにこっちを任せて自分がデートに行くくらいだから、楽しんでると思うよ」
???:ぬぁ~んだと~~~~!!!!!!!!
???:いたっ、雷神様!押さえて!押さえて~~~~!!!
???:(憤怒)
???:光神様もか!顔が怖いよ!いや……(ぶくぶくぶくぶく)
???:おい、ダメだよ、怒った光神様を直接見たら死ぬぞ?
カオスだ。遊神(本体)はなかなか人気があったらしい。
ボク(化身)から見てもヘンテコな格好してるんだけどな……。
そんな神様たちの混乱を全く気にせず、アナトの服の端っこをかわいらしく掴んで歩いていく遊神(本体)……。
あざとすぎる……。
「ん?どうした?」
「ごめん、嫌だった?はぐれたらヤダなと思って……」
遊神(本体)はアナトの服の端っこを持ちながらアナトを見上げてのたまわった。
「どうしたんだ?はら痛か??」
「もうっ!アナトのアホ!!!」
「いてぇ!」
アナトに全く理解されてないのがウケる……ちょっと悲しいけども。
これはどこのバカップルなんだ?ここに後からボク(化身)が戻るのか?
ちょっと恥ずかしすぎるんだけども!
???:くそ~オレも遊神ちゃんとデートして~~~!!!ぎゃあぁああぁあぁぁあああああ
???:あぁ、感電してる!誰か!誰か~~~!!!
雷神 :あいえあんkjげあういlrhぃなkうぇn
???:雷神様!お気を確かに!!!
???:だから『きらい』とか言われるんだよな~ぎゃあぁああぁあぁぁあああああ
雷神 :怒怒怒怒怒怒怒怒
ちょっと、雷神さまの画面切った方がいいんじゃないかな?
「さぁさぁ、2人の仲はどうなるのか!?楽しみだな~♪あっはっはっはっは」
???:〇ね!冥神!!適当すぎるだろ!!!
???:おい、そんな直接文句言ったらまずい!
???:ホラ!めっちゃ睨んでるよ!おいっ!
「遊神……ずるい……」
「えっ?」
???:えっ?戯神ちゃん!?戯神ちゃんまで!?
???:いや~~~~~~~~
???:次、オレを出演させて!そしたら何人か神様ざまぁして戯神ちゃんのために頑張るから!頼む!?
???:ふざけんなよ冥神!クソ企画かよ!!!(うっ…………)
「やっぱり戯神もか。アナト頑張ってきたもんね。ご褒美一杯だね……って、なにしてんのさ!?」
画面では緑の映える庭園のベンチで気持ちよさげにアナトの隣にちょこんと座る遊神(本体)……。
少しだけアナトに体を預けているように見える……。
ないから。
唐突すぎてないから。
アホアナトが困惑してるじゃないか!!
そもそもどうして遊神(本体)はあんなにアナトに惹かれてるんだよ!?
戯神もだけどさ。
雷神 :かうぇといはお;いうぇんg;fかwねg;おhsど;!!!!!!!!!!!!!
えっ?
「あれ?」
あっ……遊神(本体)がこっち来ちゃった。
「もう!なにしてるのさ雷神さま!!(怒)」
怒りで我を忘れた雷神さまが、直接手を出したらまた「きらい」って言われるからか、呼び戻したんだろう。
アナトに攻撃しなかったから、我は忘れてないのかな?
雷神 :あっ、え~と、その。なんだ、そういうのはまだ早いというか、画面で見せるものではないな、ウム。
「……(怒)」
???:えっと、これまずいんじゃないか?
???:終わった……雷神様、終わった……。
雷神 :なにがじゃ!なにも終わってはおらぬ!
「……(怒)」
???:いや、配信的にも、父親的にも、男女のなんとか的にもダメだろう。
雷神 :あの……その、遊神ちゃん?
戯神 :遊神……怒ると……黙る……静か……。
雷神 :戯神ちゃん……。
戯神、今そんな解説は不要だと思うよ。
それじゃあボク(化身)は向こうに戻ろうかな……。
抜き足差し足……。
「雷神様なんて……(怒)」
???:ほら!めっちゃ怒ってるって!
???:終わった……雷神様、終わった……。
???:雷神様!素直に謝った方が……。
雷神 :遊神ちゃん?
???:雷神様、ドンマイ!
「大っ嫌い!!!(怒)」
雷神 :ーーーーーーーーーー(ピクピク)
???:あっ、大人しくなった。
???:雷神様、おいたわしや。
???:なんかあれ、魂が抜けてるようだぞ……?
「え~と、それじゃあボクは戻るね」
アナトの前というか横から急に消えちゃってるし、遊神(本体)はまだイライラしてるようだ。
雷神さまをショックで気絶させたくらいでは怒りが収まらないらしい。
ここはボクが戻るしかないよね。
「頼むよ。楽しかったのに~」
とても残念そうな表情をしている。
ちょっと唐突すぎたけど、でも遊神(本体)は楽しかったらしい。
それなら良かったのかな。
そしてボクが戻ったらアナトはもうその庭園にはいなかった。
ボクを探しに行ったのかな?と思ってちょっとドキドキしたのにあのアホアナトめ!
神殿でキレイな神官さんや、可愛らしい神官さんとお話してやがったから真面目に殴っておいた。
これくらいは許されるよね?
もう一回言うけど、
アホアナトめ!!!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます