第17話 配信 ~初の投げアイテム~
「うわ~~~~」
???:あぁ!遊神ちゃんが沈んでいく~~~~~~!!!!!
???:なにやってんだよアホアナト!ちゃんと助けろよ!!!
???:いや~~~~~~。
砂の海に沈んでいくボクの化身を見て配信を見ているみんなは大狂乱だ。
ボクが崖を踏み外して落ちると思ったアナトが焦るシーンを撮ろうとして配信を回していたらボク(の化身)が蟻地獄にはまってしまった。
アナトがご愁傷様とか言ったところで蟻地獄に落ちたボク(の化身)が気を失ってしまったせいか、画面が暗転してしまった。
アナト……。
安らかに眠れはいくらボクでもちょっと悲しいよ!?
助けなよ!!!
「……惹かれたのに……見捨てられる……悲しい」
「うるさいよ戯神!!!!!」
こいつ、どうにかしてほしい。
普段まったく喋らないくせになんなんだ。
友達だと思ってたのに!
???:っく、遊神ちゃん、気を確かに!
???:ただの吊り橋効果だから!目を覚まして!
うるさいよ!!!
「あっはっはっはっはっはっは!!!!!」
あと、こいつもどうにかして!誰か!このクソおやじを!!!
???:冥神様、もう笑ってるだけなんだけどwwwwwwww
???:おほほほほほほほ
「このおやじは笑えばどうにかなると思ってるんだよ!ただの時間稼ぎの現実逃避だ!!!」
???:冥神様ひどい~~!!!
???:仕事しろーーーー!!
???:怒る遊神ちゃんかわいいぞ~~~!!
あれ?ヤバっ、口に出してたよ。
そこへ割り込んでくる明らかに高位の神さま……のコメント。
???:ふむ。そう言えばスキル解放というのが追加されておるな。
「ん?あっ、そうそう!ついに企画説明回で話した機能がちゃんと実装されたからね!みんなよろしく!!」
この偉そうな文体はもしかして1級神さまの誰かかな?
『一定額の晶貨を投げ銭したらアナトの封印されたスキルが使えるようになるアイテムであるスキル本を遊神の化身を通じて渡せる』
火神さまがちゃんと説明してくれる。
「みんな聞いたかな?晶貨だからね!ボクたち運営側への投げ銭は魔力だけど、アナトへの支援は晶貨だからちゃんと晶貨を集めてね!」
???:なるほど。では我が最初のプレゼンターになってやるかな。楽しませてもらっておるからのぅ。
なんかやばいの送ってきそうな雰囲気……いきなりのフルオープンとかないよね?
???:ドキドキドキドキ
???:誰かわかんないけどどんなスキルを解放するんだろうな?
???:これが基準になるわね?ワクワク
「みんな勝手に期待しているけど、まだ初回だし1つだけにしてね!番組の盛り上がりも考えて一定以上の効果のスキルはまだ不可だから!」
これは冥神さま、火神さま、ボクで話し合ったことだ。
さすがに初手で最強スキルとかは面白みに欠けるから。
なんでアナトはあんなに強いスキル持ってるんだ?使えれば神でも倒せそうなんだけど。
???:ん?この前祈りをささげてきた人間が納めた晶貨を入れて解放しようと思ったが、受け付けてくれんのぅ。
晶貨はこの世界で使われているお金で、古代神様が作った魔道具だ。
虹が最も価値が高くて、金、銀、紫、赤、青、緑、黄、白、灰がある。
いずれも魔力が込められていて、使用することも可能だが、込められた魔力を使ってしまうと黒色の晶貨になってしまう。
この神様は何色の晶貨をいれたんだろうか?
冒険者だった頃のアナトの年間の収入が紫を何枚か、くらいで、色が上がるたびに価値は10倍になる。
今解放可能なスキルはせいぜい紫の晶貨で十分だ。
「ちなみに何を解放しようとされたのですか?」
???:ん?この"永遠の闇夜の剣"というスキルだが……?
……ってアホか!!!!"永遠の闇夜の剣"ってなんだよ!
こんなの使ったらダンジョンどころかこの大陸ごとずっと夜になるよ!!!!!
アナト、そんなスキル持ってるの???って、本当に持ってる……。
ドウイウコト!?
???:闇神様、強力すぎます!!!!!!
???:さすが闇神様!太っ腹!!!!!
???:”永遠の闇夜の剣”……カッコいいですわ!
「ありがとうございます……これは大切に保管させていただきます」
「あっ」
闇神さまが入れた虹の晶貨をさっさと持っていきやがったよこのクソおやじ(怒)
???:なにすんだよ冥神様よぉ!!!
???:ケチ~冥神様のケチ~!!!
「色神と鳥神ですね……(ギロ)」
???:ひぇええぇぇぇえええええ!
???:(ぶくぶくぶくぶくぶく)
「こら、冥神さま!視聴者を脅すな~!!!」
くそっ、油断も隙もない。
「闇神さま、ありがとうございます。ただ、今解放するのはもうちょっと弱いスキルでお願いします」
???:ほう、難しいのだな。この点滅しているスキルならよいだろうか?
今回用意した機能では、現時点で解放可能なスキルは点滅している。
「それですね。闇神さまから見たら弱いスキルかもしれないですが、まずはそのレベルのスキルでアナトの様子を見たいんです」
???:遊神ちゃん、ちゃんと考えてる~~~
???:さすが!
???:冥神様とは大違いだな……(ぶくぶくぶくぶくぶく)
こら!ボクが睨むと視線をそらすクソおやじ……。
???:闇神様にはそのレベルのスキルの選別は難しいと思いますので、ここは私が。この魔法剣(火)のスキルなら使えるのではないでしょうか?
「おぉ青い本が出た!はじめてのアナトへの投げアイテムをありがとうございます♪」
言葉づかいで投げた相手がわかってしまうが、一応丁寧にお礼を言っておいた。
選ばれた魔法剣(火)はその名の通り、使用者が振るう剣が火をまとうスキルだ。
ほどよいレベル感。さすが3級神だ。よくわかっている。誰かは言わないが。
???:我が最初のプレゼンターをやりたかったな……
???:ひっ、申し訳ございません闇神様。出過ぎた真似を……いや~~~~~~~~~~~……
???:(あっぶねぇ。しゃしゃり出なくてよかったぞ……)
???:(オムブラス・ディぺル、ヴェイゼル・アス・イグ・シャドワーズ……)
そんなやり取りをしていると、起きたボク(の化身)が配信を再開していた。
そして、アナトが目を閉じて砂の中に手を入れるところで……
???:あははははははははははは!
???:やっぱあいつヤバい!!!!
???:やってみるのがいいな!ガハハハハハハ!
???:ウケる!あの顔!!!完全に時の砂を見つけた顔だったぜwwwwwwwwwww
???:ぷ~くっくっく。あっはっはっはっは!!!
???:遊神ちゃんの冷静なツッコミ最高~~~~~!!!!
本当にアナトは配信されていることを知らないんだろうか?
ボクですら笑いをこらえ切れないよ。
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