俺は不調でパーティを追放されたが、それは美しい戯神様の仕業!?救いを求めて自称美少女な遊神様と一緒に大陸中を旅したら実は全て神界で配信されていた件
第8話 アナトは武器"自称美少女女神ミルティア"を装備した!
第8話 アナトは武器"自称美少女女神ミルティア"を装備した!
(前回までのあらすじ)
なんか俺にはよくわからないけど時間があいた気がしたから一応前回の話をまとめとくぜ!
激しい戦いの末、1つ目の素材である"高エネルギー結晶"を手に入れた俺たち。
その興奮冷めやらぬまま、次のダンジョンへと向かう……
っていう流れだったはずなのに、バカがバカをやりだした……。
「ボクが次の場所に送ってあげるからね!」
そう言うと突然ミルティアが掲げた右手から青い円が現れ……なんか俺が引っ張られてる。
なんだこれ!?青い円に引き込まれてない?吸われてる?
「じゃぁ、行っくよ~」
「はぁ?」
なんだよ???と思っている間に俺の視界は再び暗転した。
次の瞬間、明らかに全く別の場所にいる俺たち2人。
そして目の前にはとんでもない威圧を放っているどう考えても強力なモンスター……
じゃないのか?なんだこの神聖な感じ……。
「あれが神獣だよ!頑張ってねアナト!!」
「なにしてるんだよ、バカ~~~~!!!!!!!!」
手を振ってる場合じゃね~よ!
バカミルティアのおかげで突然強力な威圧を放つ神獣の前に放り込まれた可哀そうな俺……。
ねぇ、なんか揺れてるよ……
地震?
ん?あっ、なんだそっか。
揺れてるのは俺の脚だ……。
『……人か?』
当然のように話しかけてくるその神獣。
こいつも驚いてないか?
出会い頭に"破滅の光"を放たれた、とかよりよっぽどいいけど、口が震えて声が出ないんだが……。
「ほら、アナト!覚えてる?爪をくださいって言うんだよ?ファイト♡」
視線だけ斜め後ろに向けると、俺に向かって拳を掲げてるミルティアの姿が見えた。
バカか!?『ファイト♡』じゃねぇんだよ。喋れねぇっつーの!!!
『我の爪を欲しているのか??それはできんな。諦めるがいい。貴様のような矮小な人に我の一部を分けようとは思わん』
「そこをなんとか!」
あっ、喋れた。
『帰れ!』
「うぉぉぉおおおおぉぉぅわ~~~」
神獣が何かを放ち、それに飲まれ俺。
また暗転する視界。
何回目だよ!?
「3回目かな?」
「聞いてねぇよ!!」
寝転がった俺の頭をつんつんしてるこのバカまで一緒に飛ばされてるじゃないか。
「聞かれたから答えただけなのに理不尽だ!それにしても、やっぱ無理だったね。どうしよう……」
「やっぱじゃねぇよ!なんなんだよ」
どうして太っちょ大モグラを倒したところからいきなり神獣の前に飛ぶんだよ!
なんで腕組んで悩んでるんだよ。
こいつ本当にバカなのかな?
「なんなんだって……。だってさ。ボクだってちょっとは役に立とうと思ってさ……」
突然目をウルウルさせて下を向くミルティア……。
うっ。なんだ?そんな凹むと思わないじゃないか。いや、どうしよう。
目の前で見た目女の子の姿で悲しまれると胸が苦しくなる……。
「な~んてね。じゃあ次に行こう、アナト。次はオルグレットの森の先にある峡谷ダンジョンだよ!」
顔をあげるといつもの元気な顔。
慌てた俺がアホだった。
俺はとりあえずミルティアの頭を叩いた。
「なにするのさ!」
「お前がとんでもないことするからだろ!?なんでいきなり神獣の前なんだよ!」
「そりゃ、僕はダンジョン内からなら別のダンジョンに飛べるから……」
首をすくめて話すバカ……じゃなかったミルティア。
なるほど。
え~と、手伝ってくれようとしているのは本当だったのか……。本当に?
「でもお前、あんなのまともに会話できないだろ?」
「びっくりしたよね。気が立ってたのかな?」
そりゃあ、いきなり巣に侵入したら怒るんじゃないか?
「ダンジョンから別のダンジョンに飛べるのは便利だな。でも、ここどこだ?ダンジョンではなさそうだけど」
「ボクらを飛ばしたのはあの神獣だからね。ちょっと待って、ここがどこか調べるから」
そう言うと目を閉じるミルティア。
今ならちょっと悪戯しても大丈夫そうな気がする。
そぉっと。そぉっとだ……。
ひどい目にあわされたんだからちょっとくらいいよな……。ほら、旅の仲間なんだし。
俺の手がミルティアに触れそうになるその瞬間。
「ここはワストア山脈のふもとの森だね!」
「うわぁ」
あっさりと調査が終わったのか、急に眼を開いて喋りだしやがった。危ね~~~~。
「何してるのさアナト」
両こぶしを脇に着けてちょっと怒った顔をしているが、ふぅ、バレてない。
「この森を抜けたところにあるワルトーレの村から定期の馬車が出てるからそれに乗ってオルグラまで行こう。そこから馬を借りてオルグレットの森を抜けて峡谷に入れば、そこにダンジョンの入り口があるはずだよ!」
「わかった」
さすが旅の神様。どこに何があるかすぐわかるなんて。
「……いてぇ。なにすんだよ!」
感心してたら叩かれた。
「で……?その汚らわしい手でボクのどこに触れようとしてたのかな……あぁん?」
俺の顔を見上げて問い詰めてくる。
なんのことだ……。まさか薄目を開けてやがったのか……!?
「行くぞ!ついて来いミルティア!」
「まったく……」
勢いよく走りだしてやったが追いかけてこない。
よし、誤魔化せた!
「で?これから行くところはどういうダンジョンなんだ?」
俺達はオルグレットの森の中の整備された道を定期運航している馬車に乗ってダンジョンに向かっていた。
なんで移動の魔道具が整備されてないダンジョンばっかりなんだよ……。
体が痛くなるだけだっつ~の!
「いきなりボクに聞くのをやめないか?アナト。何も知らないんだったら、さっきの街で情報収集するとかあるだろう?」
ミルティアはいきなり聞いた俺に呆れた様子だが……
「で?」
「おいっ!」
怒ってるけどなんでだ?
製作者を連れて街で情報収集とか意味がわからなくないか?しかももう街を出ている。
「キミは旅の何たるかをわかっているのか?せっかく移動の魔道具を使わずにこうして馬車を使ってるのに。未知の場所、未知の出会い、未知の敵、美食、そして……」
「で?」
嬉しそうに中空を見ながら何かを妄想している……お前が旅が好きなのはわかったよ。
でも、今はそんな時じゃない。
「はい。そのダンジョンには"聖銀の大盤"があります、はい」
諦めた表情でようやく答えた。
それでよし。
「それで?移動の魔道具がないところばっかり選んでたりするんじゃないだろうな?」
「あっ……さぁ行こう。次はどんなダンジョンかな~楽しみだねアナト!」
「楽しみだねアナトじゃね~よ!どういうことだ!?」
「ギブギブギブギブ!やめてよアナト!違うから。素材を入手できるところが偶然つながってないとこばっかりなだけだから!」
俺のヘッドロックでも白状しないということは本当か。
ふむ……。
俺が手を離すと勢いよく話し始めたミルティアが言うには、レア素材が取れるような難易度の高いダンジョンにはあまり移動の魔道具が使えるところがないそうだ。
なんだよ。期待して損した。
でもこいつの場合作れるけど楽しくないから移動の魔道具を作ってないだけな気がするんだよな。
森を抜けると、大きな川が現れ、その周囲を深い峡谷が取り巻いている。その峡谷の中に無骨なダンジョンの入り口があった。
「さて、入ろう、アナト」
ミルティアは入口を指し示しながら歩いていく。
「よし、気合入れて行こう!」
俺は両手で自分の頬を1回叩く。
今回こそは普通のダンジョン探索っぽい。それなら俺の十八番だ。堅実に探索しよう。
「おぉ、いい面構えになったじゃないか。そうだ、ちょっとそこに立って。うん、そこ!それでこっちの方を向いて。なかなかいい絵だねぇ」
「???」
何してんだよ?
「よし行こう」
「何だったんだよ!?」
「いいからいいから」
まぁいいか。こいつがおかしな行動を取るのは今に始まったことじゃないしな。そもそも見た目も思考も変だしな。
「ここはたくさん魔物がいるから頑張ってね、アナト♡」
こいつ……(ジト目)。
「どうしたんだいアナト?」
「手伝ってくれるんだよな?一緒に」
「……」
どこかへ行こうとしたミルティアの首根っこをつかんで俺はダンジョンに入っていく。
「なにするんだよアナト~」
無視して歩く。
「こんな美少女を捕まえて酷いぞアナト。いじめ反対!」
ミルティアの首をひっつかんだまま、無視して歩く。
テレレㇾレッテッテ~~~。アナトは武器"自称美少女女神ミルティア"を手に入れた。
「えっ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます