昇らない お日さま (3) 影の森
今から千年以上前、ヴォルノースの森には恐ろしい魔物が沢山いました。ヒト妖精、ハネ妖精、ケモノ妖精を始め、多くの妖精たちは身を小さくして暮らしていたのです。
そこに突然、英雄が率いる戦団が現れて、森中の魔物を今の影の森あたりに追いやっていきました。それ以来、人々は影の森に近づけない代わりに、安心して過ごせるようになりました。
今も影の森に魔物がいるのかどうかは、誰にもわかりません。そんな恐ろしいところへ足を踏み入れて調べる者なんて、まずいるわけがありませんからね。
でも、でもね。そんな影の森の真ん中あたりに一軒のお家がありました。魔物の住処ですかって? いえ、違います。れっきとしたヒト妖精のお家です。ただ、住んでいる人がとても変わっているのです。名前はパーパス・ウォールンデンという老人で、白いヒゲをお腹のあたりまでたらしています。
そんな魔物が住んでいるかも知れない森で、老人の一人暮らしなんて大丈夫なんだろうかと思うでしょう。でも大丈夫なんです。なにせ彼は”大魔法使い”なんですから。
じゃぁ大魔法使いとは、どういうものかですって? それはこんな感じです。
ヴォルノースの森に住むヒト妖精、ケモノ妖精、ハネ妖精を始め殆どの妖精は、何がしかの魔法を使えます。でも殆どは、本当に慎ましやかな魔法です。食器を洗ったり、食べ物を温めたり出来るくらいのね。
中には少し大きな魔法を使える者もいますけど、その場合は一種類の魔法しか扱えないんですね。だから魔法を使えても、こういった人たちを、いちいち”魔法使い”なんて呼びません。
でも、魔法使いと呼ばれる人たちは違います。一人でいくつもの魔法を使えるのに加えて、その中には非常に強力な魔法もいっぱいあるのです。本当に魔法の専門家という感じなんですね。
そして”大”魔法使いは、その中でも飛び抜けた力を持っている者に与えられる称号です。もう、伝説級の人物と言ってもいいでしょう。だからもし恐ろしい動物や魔物がいても、ヘッチャラなわけです。すぐに、やっつけてしまえるのですから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます