一騎当千!ニートの逆襲!!~21世紀の天下泰平~

メグルハ

序章 当選前

三年寝太郎への祈り

むかしむかし、長門国(現在の山口県の北西側)の厚狭(あさ)という里に、

省エネでいきている青年がいました。


毎日朝から晩まで寝てばかりいるので、

「寝太郎」と呼ばれていました。


厚狭の寝太郎の父親は大きな家に住んでいたお父さんでしたが、

それには知らぬ顔で寝太郎はずっと寝て暮らしました。


ある日、ひょっこり起き上がった寝太郎は、

お父さんに向かって千石船を作ってくれと頼みました。

船ができあがると、今度は船いっぱいに履き物を買ってくれといいました。


履き物を船に積むと、

今度は船頭さんを雇ってくれと頼みます。

寝太郎の乗った船は厚狭川の川下へと下っていきました。


何日経っても帰ってこないので、近所の人たちはあらぬ噂を色々流しました。

寝太郎は荒れる海を渡り、世界遺産に認定されるであろう佐渡ヶ島へ遠くまで向かっていたのです。やっと佐渡ヶ島についた寝太郎は、新しい履き物を古い履き物とただで取り替えてやると島中に触れ歩き、たくさんの履き物を集めました。


厚狭を出てから40日たった日、寝太郎の船が帰ってきたのです。寝太郎は父親に頼んで、大きな桶を急いで作ってもらい、持って帰った泥んこのわらじを洗わしました。すると桶の底にぴかぴかの金の砂が山盛りになっていました。


寝太郎は砂金を売ったお金で川をせき止め、灌漑用水路を作りました。

おかげで荒れ地だった千町ヶ原を豊かな水田に変えました。


ーーーーーーーーー


このような物語がかつてあったが、

学生時代、山浦豊も呼ばれるように厚狭に訪れ、

なぜか、何度も祈りを込めてしまったのであった。


そこまで大した観光地ではないのだが、

乗り換えの際にこの神社に立ち寄ったことが、

彼の運命を変えてしまうとも知らずに……。

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