第7話 「どうしてこうなった!?」

倉科さん、未紗さんと合流したおれらは食○ログで探したとあるオシャレなレストランに入った。


雰囲気で言うとフォーマルでもなければカジュアルすぎるわけでもない。

いかにも透が女の子を落とすときに使うような店って感じだ。



おれら2人なら適当にまたラーメンや中華料理店で飯を食うんだろうがさすがに見た目からして倉科さんはあまりそういう店には行かないのかなと感じたそうで。





「すごいオシャレな店だね!さすが透くん!いろんなお店知ってるんだね!」


「まぁね!未紗ちゃんはどう?あんまりこういうお店来たことない感じ?」


「うーん、確かにしょっちゅう来るような場所じゃないね。なんかカップルの記念日とかで使うようなお店みたい。ほら、あちこちにカップルがいるし!」




なるほど、確かに言われて見渡すと色々なカップルが互いに料理や雰囲気を楽しみ、会話を盛り上げている。


あるカップルは頬を赤らめてる彼女をからかう彼氏。


またあるカップルは記念日なのか、オシャレな格好とともに○スタに載せる写真を撮ったりとさまざまだ。







「陸くんはこういうところ初めて?」

未紗さんがそうおれに聞いてくる。


「そうだね、男同士ではまずこういう店には行かないから新鮮な感じ。」


「そうだよね、ごめんね。朱音ちゃんとにかくオシャレなものとか好きで、そういったところに行っては必ずSNSにあげるのが趣味だから」


「いや、それは全然大丈夫だよ」


「でも陸くんと今日また会えるとは思わなかったからよかった♪」






(お世辞でもそうやってたぶらかすなっての)


そう思いながら未紗さんの方を見ると、未紗さんが少し顔を俯かせていた。

なるほど、顔は見たくないと。





「おい何2人でいちゃついてんだよ笑 はやくメニュー決めてくれよ笑」


「そうだよ、って未紗!?なんで顔俯かせてるの?ねぇ陸くん未紗に何言ったのー?笑」

陸、倉科さんペアがおれにからかってきた。



「いや別に普通に話してただけだって。おれにもそれはわからねぇよ。」

マジでわかんねぇから、頼むから未紗さんなんとかフォローを!



「まぁそうだね。陸くんがこっち見てくるからね♪

あ、そうだ!料理とか決めないとだもんね!私このパスタとチーズハンバーグにしよっかな!笑」

未紗さん...だからそれはフォローになってない。てか意外と食うんだな。



「焦りすぎだって笑 ほら、このパフェとかもいいんじゃない?少し冷たいもの食べて落ち着こ!」




さすが透だ。この雰囲気でもしっかりと周りを見ている。やっぱり困っている人に対しての気遣い能力はみていて感心する。



てかそれ以上食わせる気か、腹壊すわ。





   


       ーーーーーーーーーー



あれから料理も運ばれてきてみんなで料理の味や見た目について色々話したりしていた。

やっぱりオシャレな店に似合う料理。


盛り付けやバジルなどの配置にもこだわっていて映えるにはもってこいだ。







「いやー、やっぱこの店は料理もオシャレで2人がより可愛く見えちゃう!」


何を言ってるんだかさっぱりだぞ透。


「えーほんとにー?笑 そう言って私たちをたぶらかすんでしょー?笑」



あ、引っかかるバカが1人いたな。

倉科さん想像通りの人なのかも。







そう思いつつも少しずつ料理に手をつけていく。

確かにこの味なら人気になるのも頷ける。


ちなみにおれが頼んだのはクリームソースのパスタ。濃厚な牛乳と小麦粉とバター、ほうれん草などの野菜も入っている。


そしてソースの隠し味はりんご。

だから濃厚なのに少し酸味が入っている。






「陸くんいいの食べてるね!私にも一口ちょうだい!私のもあげるから♪」




未紗さんがおねだりしてくる。

なんだ、これが食べたいのか。

それなら同じの頼めばよかったのに...


と思ったけど確かチーズハンバーグも頼んでなかったっけ未紗さん。

どんだけ食うんだよ。

まぁいいや、とりあえず一口渡すか。





「ほら、未紗さん。」


「え、食べさせてくれるんじゃないの?笑」


「いや自分で取りなって笑」


「えーつまんないなー...食べさせてくれないんだー...笑」





正直うぜー笑

なんだこのやり取り、ただの甘えてるガキじゃねぇか。





「はぁ、わかったよ。ほら、口開けて。」


「やった♪あーん」



やっとダル絡みも終わるな。

そう思ってたのも束の間





「あーずるいぞ陸!」


あ、バレた。









「おれにも食べさせろ!」





いやそっちかよ!




「あー!私にも一口!」






もうなんなんだよこいつら。

いっそ4人前でこれ頼めばよかったと思う。









「えーダメ!これは私のものだよー」





いや、おれが頼んだクリームソースパスタです。











     ーーーーーーーーーーーーー


あらかた料理を食べ終え、少しリラックスタイムに入る。

みんなで感想を言ったり学校での話題で持ちきりになっている。


そういえばおれ、こうやって何人かで遊んだりするのいつ以来だろ...






最後に遊んだのは、透と他友人2人で箱根に旅行に行った時以来ほとんど1人で過ごしてたんだよな。


温泉に浸かったり、いろんなバカやらかしたりしてたよなって少し思い出した。




元々両親はずっと家を空けているような人だったから、1人暮らしをしても大してホームシックになったりしないし、ずっと気楽な毎日を過ごしていたなような気がする。






「そういや2人って大学に入って好きな人とかできたー?」



透が突然この質問する意図がわからない。

やっぱりこいつはチャラいなと改めて実感した。





「えー早くない?笑まだ入学して1ヶ月ちょっとなんだよー。好きな人できるの早いっしょ透くん笑」




ほーらつっこまれた笑

さすがに撃沈するのかなと思ってたけど。てか倉科さんはやっぱり透を意識してそうな感じもするけど。








「いやね、昔いたんだよ。入学してすぐの頃に『一目惚れしました、付き合ってください!』って校庭で告白したやつがさ。」



う、ゲホッゲホッ


むせてしまい、みんなに心配されてしまった。











いや、それ...


おれのことじゃん...







いや確かにあの時一目惚れしたのは確かだけど、あれはクラスにいた周りのやつらに告白急かされてした今でも忘れられない黒歴史なんだけど...




そう透はおれに目配せしながら言うもんだから2人はおれの方を向いている。


あー言ったなこいつ。明日の昼飯何奢らせよっかなって心底思うわ。








「え、陸くんがしたの?笑笑ヤバいよそれ笑

 てか陸くん校庭で告白って、意外と男みせるんだねー!

 気に入ったんだけど!笑」


倉科さんが目を輝かせながら聞いてきた。



「その話ほんとなの?笑」

未紗さんまで...どう答えるか。






「まぁ...そうだな。確かにあの時一目惚れしたんだよ。んですぐフラれたけど。」



「そりゃそうでしょ笑 だれだかわかんない人と付き合わないって笑」

まぁごもっともです。




「でも同時に思ったんだよなー。こいつと仲良くしたらもっと面白い一面見せてくれるんじゃないかって!だから今でも遊んだり仲良くしてる感じ!」

透...感動を誘おうとしてくれたんだけど




「そりゃお前がその後にしつこくおれを遊びに誘ったからだろ。あれから女子は全く相手されなかったんだからな。」






そう、あれから女子はおれを冷たい目で見て軽蔑するようになった。おかげで全く女子に免疫がないのは確か。













透は最後に話をまとめる。



「なんか恋愛の失敗談って盛り上がるよな!深刻なのはあれだけどその人の本質が見れるからすっごい好きなんだよね!」



「確かにね!私も女の先輩に相談とかしたらいつのまにかその女の先輩が好きな人とくっついてたりしてたし!」



「うわーそれエグいね...女社会やっぱこえーよ。」

確かにこえーな。




「あの人結局まだ付き合ってるんだもんね。改めてすごい感じ。」


やっぱ未紗さんも恋愛に興味あるんだなきっと。未紗さんはモテそうだから失敗とかしなさそうだしなんとなく聞いてみるか。

 

「未紗さんはなんか失敗談とかってあるの?」



「んー?笑 聞きたいの?笑」



「いや、別にないならいいんだけど笑」



「えー話させてくれない感じなのー?笑」



そういじけた感じに未紗さんが言うと横から

「いや未紗ちゃんは失敗談とかあんまり無さそうじゃん!」


おれ言いたかったんだけど...



「いや私にもあるよ。あるけど教えない!笑」



見事に誤魔化された感じというか。

やっぱり正直話合わせるのは難しい...






ーーーーーーーーーーーー


会計を済ませて互いにトイレで作戦会議?になるものをするみたいだ。


何を会議するんだか。




・男子トイレ




「やっぱ未紗ちゃんめっちゃ可愛いんだけど!付き合うならあんな彼女欲しいわ!」


「いや、確かにわかるけど。倉科さんはどうなんよ?」


「あー、確かに朱音ちゃんもかわいいけどなんかガツガツしてる感があってさ。なんだろなー...

男に飢えてる感?笑」



一体どんな目で見てんだよ。







・女子トイレ


朱音ちゃんが急に

「決めた!今日透くんと2軒目行ってくる!」


「え、早くない!?笑」


「こういうのはやっぱ行動あるのみでしょ!校庭で告白した陸くんみたいに?笑」


「あれは確かにすごいなとは思うけど...」


「ちゃんと陸くんに送ってもらいな!なんなら2人で2軒目もありでしょ?笑」


「えー!?さすがにそれは陸くんいけるのかな?」


「なんとかなるでしょ!なんか雰囲気彼にそっくりな感じだもんね!」




あ、そっか...

だからなんとなく陸くんのこと気にかけてるのかな?







   



    ーーーーーーーーーーーーー



「透くん私ともう一軒付き合ってー!」


「えー...もう帰りなよ笑」


「何言ってんの?夜はまだまだこれからなんだから、ほら行くよ!」


「え、ちょ、離せって!力つよ!」




そう捨て台詞を吐いて倉科さんが透を連れ去った。

まだ遊ぶのかよ。



透、がんばれ...笑

さてと




「どうしよっかおれたち。」


「そうだね。とりあえず私はまだ時間大丈夫だけど陸くんはどう?」


「おれは別にまだ大丈夫だけど、未紗さんバイト終わりっしょ?疲れてるんじゃない?」


「みんなで遊んだら疲れ吹っ飛んじゃったよ!そしたら買い物付き合って!」



「いいけど何買うの?」


「んーとりあえずドンキで日用品とかかな!」


「わかった、じゃ行こっか。」











.....


てか




「『どうしてこうなった!?』」

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