第20話

マツリはしっかりと足と手を縄で縛られ、船内に連れられて椅子に座らされた。

「まぁ、女の子にこんな事するのは気が引けるけど。」

のんびりとそんな事をマツリに船長は言った。

「…ところで、あそこ破壊したのって?」

「あ、うん、俺。」

やっぱり、とがっくりとサナが肩を落とす。

「誰が修理すると思っているんですか、本当。」

すまんと素直に謝られたので、言いたい事は山程あるが今は喉奥へ押し込める。

「…まぁ、ちゃんと捕まえられたから良しとしましょうか。」

そうは言ってもサナの顔はあまり晴れていなかった。

「…ところで、お前本当に昨日の怪盗なのか?」

ノイは目の前にいるマツリに向かって話し掛けるが、マツリはノイの問いかけは無視しそっぽを向く。

「おいおい、立場考えろ。」

「ノイ、あまり刺激してはダメですよ。」

そう言って、サナはマツリの前に出た。

「こうして捕まったからにはどうなるか、自分はどうなると思いますか?」

「………。」

優しく話しかけているように見えて、サナの纏う空気はどこか冷たいものがある。

「領主様のところに差し出しても良いし、ここで八つ裂きにされても問題無いですよね?」

にっこりと微笑しているサナを見て、ノイはこっそり「お前の方がタチ悪いだろ。」と呟く。

「でも、そんな酷い事にならずに済む方法がありますよ。」

依然としてマツリはそっぽを向いたままだったが、次の言葉に反応を示す。

「貴方が盗んだ盗品、どこにあるか教えてくれません?」

「…!」

まさかそこに着眼点を置かれるとは思いもしなかったのか、マツリは視線だけサナの方を見た。

「ずっとわたし達を観察していたなら存じ上げていると思いますが、わたしたちは海賊です、しかし盗むものは他の人が盗ったものに限定しているのですよ。」

どうでしょうか、と笑みを顔に張り付けたままでマツリに話しかける。

 

「教えてくれれば、貴方を解放しますし、わたし達もこの島から出ますよ?」

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