第14話 永遠の誓いを君に

 晴れ渡った空に真っ白な鳩が放たれて大空を羽ばたいている。

 昨夜の騒動の後、事後処理は任せてというグレアムに後を任せて俺はアンスンを連れ帰った。

 手当をしてまだ周りを気遣うアンスンを寝かしつけたのは明け方近くになっていた。

 起きてからは邸の中が慌ただしくアンスンに逢えないまま、身支度をされて教会に押し込まれた。

 真っ白な衣装には異国のキキョウと呼ばれる花が胸に飾られている。

 アンスンの瞳を模したような深い藍色の花は永遠の愛や変わらぬ愛という意味があるらしい。

 俺は顔をあげて扉が開くのを待った。

 オルガンが荘厳な曲を奏でて扉が開く。

 光の中に輪郭が浮かび上がり、家令に付き添われたアンスンが白い衣装を見に纏いゆっくり歩いてくる。

 胸にはフリージアが飾られ、その下に花飾りのブローチが存在を主張している。

 緊張からか硬い顔をしていたアンスンに手を差し出すと、ふわりと笑って俺に向かい歩き出す。

 ゆっくり隣に立ったアンスンの瞳が潤んでいる。

 俺の差し出した手に手を重ねて極上の笑みを浮かべるのを見れば、誓いの言葉などすっ飛ばして今すぐに抱きしめて腕の中に閉じ込めたくなる衝動に襲われる。

 が、流石に不味いとこれまでの王子教育で培われたアルカイックスマイルでグッと煩悩を押さえつけた。

 長く感じる誓いの言葉を口にするが、アンスンが誓いを述べると胸が張り裂けそうな程の高鳴りを覚えた。

 手順通りにアンスンの指へ指輪を嵌めるが、ガラにもなく手が震えそうになる。

 指輪を交換し終えて、アンスンを正面から見つめれば頬を赤く染めたアンスンがポロと涙を一筋零した。

 頬に手を伸ばし触れた親指で涙を拭う。

 瞼を閉じたアンスンの薄紅に色づいた唇を塞ぐ。

 ゆっくり顔を離せば、見守っていた参列者から割れんばかりの拍手が送られた。

 花の舞う中を手を引いて歩いて抜ける、そのまま用意された白い馬車に乗り、邸へ向かった。

 邸では既に宴の準備が整えられており、メイドたちが手早く衣装を差し替えて飾り付けられた庭へと送り出してくれた。

 途中でアンスンと再び合流すると、堪らず彼を抱き上げて庭へと足を踏み出した。

 「ちょっと待って!は、恥ずかしいから」

 ジタバタと暴れるアンスンを「落ちるぞ」と小さく脅せば首にギュッとしがみついてくる。

 そんな仕草も愛しい、昨夜奪われかけた未来が今手の中にある幸福に口元が綻ぶ。

 まだ包帯を巻いているケインがいつものアンスンの背後、定位置に立つ。

 「ガーデンパーティーでのお披露目っていうのも良いわね」

 エリアナがアンスンを抱き上げたままの俺に話しかけてきた。

 視線で非難をする彼女に負けたのはアンスンの方で「もう!降ろして!」と可愛く口を尖らせて強請られれば降ろすしかなく、寂しくなった手をアンスンの背後から回す。

 「内々でなら私たちも出来なくはないかな、ガーデンパーティー」

 「ごく身近な方々のみお招きするのもよろしいですね」

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