秋のアトリエはとても静かなところにあった。

「適当なところに座って。今、飲み物用意するね。コーヒーでいい?」

「うん。ありがとう」

 初めてみる画家のアトリエはとても殺風景な風景だった。物が少なくて、もちろん、最低限の絵を描くための道具や資料のようなものはあるけど、それも最低限といった多さに思えた。

 物珍しそうにきょろきょろしているもと「どう? 私のアトリエは?」と秋が言った。

「もっとたくさんいろんな不思議なものがたくさん置いてあると思った」

「そう言う人もいるけど、私はあんまりものが多くなることが好きじゃないんだ。片付けたり、掃除が大変になるし、いろいろな印象がごちゃ混ぜになってしまって、迷ってしまって、本当に描きたいものが描けなくなってしまうし、なによりも作品がぶれてしまうような気がするんだ」

「なるほど」私はコーヒーを飲む。(銀色のコップだった)

 すべてが木で作られている木のいい香りのするアトリエ。薄暗くて、カーテンは開いていて、そこから眩しい太陽の光が部屋の中に差し込んでいる。

 アトリエの横にはキッチンがあって、そこには流し台と調理器具のしまってある棚と小さな冷蔵庫があった。

「荷物はそこの棚の上に置いて。コーヒー飲んだらさっそく絵を描くからさ。約束通り、モデルお願いね」

「うん。わかった」と笑顔で私は言った。

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