18

プロジェクトが中止になった。

あれだけみんな頑張ってきたのに。

いろんなことを盛り込みすぎたのだと思う。

もっとシンプルに外山さんのプランを進めていれば。

でももう時間がない。

予算をオーバーした。

あきらめるしかなかった。

ただ私の責任によるものもあった。

そのことが引っかかっていた。


気持ちを晴らすつもりであさきちゃんのライブ行ったのにサブローさんにぐちをこぼしてしまった。

わんころも以外にぐちをこぼすなんて。

やさしさに寄りかかってはだめ。

自分の弱さ。

それでもしゃべって気持ちは軽くなった。

聞いてくれてありがとう。


少しずつ前を向けるようになってきた。


結局、プロジェクトが中止になっても部署は存続することになった。


また新たな企画を考えていくしかない。

これぐらいのことでくじけない。

また前を向くしかない。


今日は気持ちも新たにあことわんころもとピクニックに出かけた。

わんころもはすっかりあこのことを気に入り、来るたびに大喜び。

プロジェクトの話になる。

残念ね。とあこが言った。

頑張ってたのにね。と。

もうそのことは忘れる。と私。

切り替えはや!

ふたりで笑った。

あこと話すとつらいことも悲しいこともどうでもいいかって思えてくる。

なぜだろう。

あこの声を聞くだけで私の湿った気持ちは晴れやかになっていく。

私の太陽。


「ありがとう。」

「え!?私なんか言った?」

笑顔を返す。

「ま、いっか。」と言ってあこも笑った。

わんころもに顔を舐められる。

僕のこともかまってよって言ってる。

「遊びましょ。」とあこがわんころものリードを持って走り出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る