第10話 学園襲撃

ついにこの時が訪れた。

学園がSVFに乗ったテロリスト達に襲われたのだ。

警備兵達は無惨にも捕まり頼りにならない。

格納庫が押さえられ、授業中だった為生徒も守護騎士も誰もSVFには搭乗していなかった。

守護騎士達は生身で奮闘したが、SVF相手には歯が立たなかった。

学園側に残った戦力はルークとローグのみ。

二人はこの過酷な状況を打破できるのか。


「まあ相手が素人集団なのを祈るばかりだな」


「くだらん会話はいい。持ち場に付け」


「はいはい」


ルークとローグは小型無線機で会話をすると、SVFが保管されてる格納庫へと向かった。


「こいつが噂に聞くロードって奴かね?」


「おい迂闊に触るなよ。そいつにはとんでもねぇ罠がしかけられてるって話だぜ」


「(こい、ゼクロス)」


「(こい、ディファイアンス)」


ルークとローグが小声でSVFを呼ぶと自動起動した二機が二人に向かい歩き出した。


「おいおい、誰も乗ってないのに動き出したぞ!?」


「と、とにかく攻撃だ!お宝を逃がしちゃお頭にどやされる!」


見張りの盗賊達が作業用SVFゾークに乗り込みサブマシンガンで射撃を行うが、ゼクロス達にダメージは微塵も無い。

彼らの機体は、魔法相手ならともかく現代兵器に対してはチート級の防御力を誇るのだ。

小口径のサブマシンガン等目ではない。


「じゃあいっちょひと暴れしちゃいやしょうかね!」


ローグの乗るSVFディファイアンスのステルスダガーが次々とゾークのライフルを貫き無力化する。

そしてゾークの操縦者達をSVFから引っ張り出すと柱に縛り付けた。


「じゃあこのゾークも壊しておくか」


ディファイアンスがビームクロウを展開すると瞬く間にゾークを解体していった。

ゾーク達は次々と爆発音を立て消え去っていく。


「これで敵の注意はそれたかな。じゃあ俺は狙撃手を探すからって―、ルークの奴・・・」


ローグが言い終える前にルークとゼクロスは姿を消していた。


「おい、勝手にいなくなるんじゃねーよ」


「俺の機体は隠密行動には向いていない。細かい事はお前に任せる」


「へいへい、分かりましたよ。で、お前さんは何をするんだ?」


「敵の頭を潰す」



「申し上げますお頭!こちらの部隊の殆どが敵に捕縛されました!」


「殆どってどれ位だ!?」


「残るは私とお頭だけです!」


「くそ!SVFの格納庫さえ押さえておけば後は貴族のガキと自称騎士のガキだけじゃなかったのか!」


「そのガキならここにいるぞ」


ゼクロスが出力を抑えたメガランチャーで、護衛のリファレンスを行動不能にする。

残る相手はSVFにも乗っていない生身の人間だ。


「まっ待った!このヴォ―エン、貴様に決闘を申し込む!生身でな!(相手はガキだ、生身なら楽勝よ)」


「……」


「まさか守護騎士様か貴族様であろう者が決闘を受けない訳では無かろうな!」


「いいだろう。その決闘、受けよう」


ルークはゼクロスから降りるとテロリストのリーダーの前に立った。


「もらった!」


すると相手は決闘の合図も無しに風の魔法をぶっ放して来た。

しかしルークはそれを華麗に避け、相手を殴り飛ばした。


「このガキ・・・その小さな体のどこにそんな力を・・・」


「任務完了」


こうして学園襲撃事件は幕を閉じた。



―学園・下校時


「守護騎士と学園をやめる

ですって!?どういう事なの!?」


エミリアがルークに詰め寄る。


「赤いSVFの情報を集めるには学園内だけでは範囲が狭すぎる」


「それは俺も同感だぜ。こっちも契約解除だ」


「あら残念」


感情的になっているエミリアとは対照的に淡々と了承するソニアだった。


「(もう少し悔しがってくれてもよいのになぁ)」


「安心しろ、婚約を迫って来る奴がいたらまた相手をしてやる」


「私が言いたいのはそういう事じゃなくて、なんでもかんでも自分だけで決めないでって事よ!」


「貴様は俺の上司ではない。相談の義務はないぞ」


「そういう事言ってるんじゃないの!」


こういうやり取りが小一時間は続いた。

最後はエミリアが折れる形で話がついた。


「一応あなたは私の婚約者なんだから、私が呼んだらすぐに来る事!いい!?」


「了解した」


ふたりの関係はまだまだ途切れる事はなさそうだ。

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