第7話 紫のロードの再来
エミリアとルークが学園に登校すると正門付近がざわついている。
二人はSVFを格納庫に置くと正門へと向かった。
エミリアはざわついてる生徒の一人を捕まえて質問する。
「なになに?なんの騒ぎなの?」
「テロリストでも現れたか」
質問された生徒はルークの冗談にならない冗談?を聞き流すとエミリアに答えた。
「あのグエン様が登校されたんですよ」
「グエンってあの婚約破棄したグエン・クリフォード!?」
「ああそうだとも。我が婚約者のエミリア・アトラシア」
「元!でしょ。今まで不登校だったのになんで急に来たのよ!?」
「今回はそこの守護騎士君に用があってね」
「俺はお前には用はない」
ルークがグエンをあしらい正門を抜けようとするが、いかつい警護兵達がそれを遮る。
「君は私を誰だと思ってるんだね?ロード・クリミアスの操縦者にしてクリフォード家の当主、そしてこの学園のエースパイロットだぞ」
「関係ないな。エミリア、離れていろ」
「え?」
ルークは自作した暴徒鎮圧用のショットガンを構えると、
正門を遮っている護衛兵にそれを撃った。
護衛兵は後方に吹き飛ばされ気を失っている。
幸い身に付けていた防具のおかげで怪我はない様だ。
「な、あ、あんた何やってるのよ!?」
「安心しろ、非致死性兵器だ。死ぬことはない」
「そういう事を言ってるんじゃなくて・・・」
「僕を無視するとはいい度胸だね。君に改めて決闘を申し込む」
「決闘なら前回やった筈よ!」
グエンの提案にエミリアが食い下がる。
しかしグエンは余裕の笑みでこう答えた。
「あんな不意打ちの様な非形式的な物は決闘とは言わない。君のお父様も了承してくれたよ」
「(ううう~、恨むわよお父様)」
「と、言う訳だ。君に拒否権はないのだよ、白金の騎士君」
ルークがエミリアの方を向くと諦めて了承しなさいという念を込めた顔をしていた。
「状況は理解した。では放課後校庭にて集合・・・」
「待つ必要はないよ。僕は優等生だからね。授業を受ける必要なんてないのさ」
「じゃあ今すぐ決闘という訳か」
「その通り。それじゃあ処刑場に向かおうじゃないか。哀れな守護騎士君のね」
―学園・校庭
ルークとグエンは自身のSVFに乗り込み決闘の準備をしている。
今回は実弾とビーム兵器を使用した実戦形式で決闘が行われる。
学園校舎に被害が及ばない様にしっかりと魔法でバリアが張られていた。
ルークは決闘用に機体を調整している。
「(バリアを貫通しない様にメガランチャーとプラズマサーベルの出力を抑えておくか)」
一方でグエンは抑える気など微塵もなくライフルや専用のサーベルを磨いていた。
そしてルークのゼクロスに無線を入れて来る。
「この決闘に僕が勝てばエミリアは返して貰おう。そして君は守護騎士を辞め退学して貰う」
「俺が勝った場合は?」
「そんな事は万一もないが・・・そうだな君の欲しい物をなんでもくれてやろう(どうせ金だろう)」
「了解した(これで赤いSVFの情報が少しは集まるか)」
「最後に言っておくが命の保証はしないよ。降参も無しだ」
「こちらもそのつもりだ」
互いに距離を取ると、決闘がついに幕を上げた。
久々の実戦形式の決闘という事で、守護騎士や生徒達も興奮して窓から観戦している。
「最初から本気で行かせて貰う!」
グエンの駆る紫のロード、クリミアスはプラズマライフルでゼクロスを攻撃しながら距離を詰めていく。
そして専用のサーベルに雷の魔法を纏わせフェンシングの様に無数の突き攻撃をしてきた。
ゼクロスはクリミアスの剣撃をなんとかプラズマサーベルで捌いている。
機体に直接触れていない事と物理剣で無い事が功を制し、電撃はSVFには流れてこない。
一方でクリミアスの方も雷の魔法を纏っているおかげで、ゼクロスのプラズマサーベルに切り落とされる事は無かった。
「ちぃっ!すばしっこい奴め!これならどうだ!」
クリミアスは5体に分身すると一旦ゼクロスから距離を取り皆で囲んだ。
これこそクリミアスの真の能力「ミラージュキラーズ」である。
「センサーでの実態特定まで・・・後5分、か」
しかし最新鋭機のゼクロスにとってそれを看破するのは容易い事だった。
しかしそれでも5分かかるのだ。
ゼクロスは回避に専念しつつ敵の幻影をメガランチャーで撃ち落としていく作戦に出た。
1体、2体と次々に幻影を行動不能に陥らせていくゼクロス。
しかし幻影は後を絶たず増え続け常に最大5体を維持していた。
「どうだ白金の騎士!クリミアスの幻影に手も足もでまい!」
「くっ!」
クリミアスがサーベルを構えゼクロスを攻撃しようとしてきたその時である。
ゼクロスはプラズマサーベルを背後に向けると、いつの間にか迫って来ていたクリミアスの実体に一撃を加えた。
プラズマサーベルはクリミアスの胴体に一撃を与え行動不能にした。
もしルークが出力を落としていなければ機体は串刺しになっていた所だろう。
「お前の機体のホログラム技術は既に解析を終了した。まだ続けるか?」
無線でルークが呼びかける。
「わ、わかった・・・僕の負けだ」
潔く負けを認めたグエンであった。
学園中に知れ渡ったのだ、二度と彼が学園に来ることもないだろう。
「で、約束の品だが」
「ああ、平民が遊んで暮らせる金を用意させよう」
「金等いらん。それよりも情報が欲しい」
「情報・・・?」
「大鎌を持った、赤いSVFだ」
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