第5話 漆黒の暗殺者
「ローグの兄貴、お疲れ様です!」
守護騎士のレイス達がローグに礼をする。
「だからその兄貴って言うのは止めろって」
レイス達を蹴散らし、オークとハーピーの大群を退けて以来、ルークとローグは守護騎士達の中でちょっとした英雄だ。
しかしそれに驕る事無くローグは周囲を警戒していた。
それは自分の主人であるソニアの護衛の事だ。
先日学園からの帰り道にソニアの狙撃未遂があり、それからとは言う物、厳重な警戒態勢が引かれていた。
新参者のローグは自由にしろと放り出されているが・・・
「暗殺者が暗殺者を見過ごすなんてあっちゃあならねぇよな」
ローグは自室に戻ると地図を広げた。
ターゲットの狙撃箇所は段々と狭まってきている。
するとありえるとすれば次は学園内だ。
狙撃ポイントは人気の無い旧校舎。
ローグは深夜に屋敷を抜け出すと学園の旧校舎に侵入した。
「全く、ザルセキュリティも良い所だぜ」
学園には数人のSVFを着た警備員が徘徊しているだけだ。
まあ貴族様の学校なんだ、これでもよい方なんだろう。
ローグは用意したセンサー類を隠し終えると、影の様に学園から消えた。
―次の日
「お父様も幾ら私が可愛いからってこの警備はやりすぎですわ。ねぇローグ?」
「あーはいはい。もうすぐ終わるから心配するなって」
ローグは授業が始まると作戦を開始した。
まず学園内を狙える旧校舎の狙撃ポイント全てに警備センサーを仕掛けた。
魔法で感知できないこの科学技術は間抜けな暗殺者を見つけ出してくれるだろう。
「お、反応ありか」
ローグは黒いSVFディファイアンスに乗り込むと目的地に向かった。
―旧校舎
「ようし、後は授業開始を待つだけだ」
「対SVF用の狙撃ライフルで狙撃とは過剰攻撃すぎやせんかねぇ」
「誰だ!」
敵のSVFゾークが声のする方に銃を向ける。
しかし声のする方向には誰もいない。
「SVFって言ってもゾークか。しかも民間作業用の改造品じゃねーか。警戒しすぎたかな」
「どこだ!どこにいる!」
辺りを見回すがローグの姿はない。
ローグの搭乗するSVF、ディファイアンスは光学迷彩を搭載しており、姿を消せるのだ。
「それじゃあそのライフルから始末しておくか」
ディファイアンスから放たれたステルスダガーが暗殺者のライフルを貫く。
「くそ!しかしこれでお前の場所が分かったぜ!」
暗殺者がダガーの放たれた元の方向に魔法を放つ。
しかし壁に穴が開いただけだった。
「このダガーは遠隔操作できるんだよ。大人しくSVFから降りな」
ディファイアンスはダガーを敵のSVFの首に押し当てると、SVFから降りて来た暗殺者を締め上げた。
「これが真の暗殺者って奴だ。覚えときな」
―
「全く、暗殺者が捕まったと言うのにお父様の心配性にも困った物ですわ」
未だ厳重な警備が解かれないソニアが愚痴をこぼす。
「全く、俺様がここまで骨折ったって言うのに警備チームの奴等手柄を横取りしやがってよ。ま、いいけど」
「私は分かっていましてよ、漆黒の暗殺者さん」
やれやれと照れながら頭をかくローグであった。
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