サーヴァントフレーム~異世界の機械騎士~
勇者れべる1
異世界転移編
第1話 白金の騎士
ここは科学技術が発達した近未来の地球。
魔法なんて当然ない。
SVF≪サーヴァントフレーム≫と呼ばれるパワードスーツが世界を動かしていた。
SVFは介護から戦争にまで、あらゆる物に利用されている。
これはある組織のSVFを駆る少年工作員達の物語である。
―とあるSVFの工場
工場から爆音が上がる。
「リファレンス…軍用の量産型SVF、か。これで何機目だ?」
黒いSVFの操縦者が呆れる様に無線に話しかける。
「おーい、何か言ったらどうなんだい白金の騎士さんよ」
白金のSVFの操縦者に話しかけるが返事はない。
そうしている内に敵のSVFが追加で迫って来た。
「まーたリファレンスか」
黒いSVF”ディファイアンス”がスナイパーライフルを構えると、超遠距離から敵を狙撃していく。
「爆弾の設置は完了した。行くぞ」
敵兵の銃撃を避けながら白金のSVF”ゼクロス”は極大威力のメガランチャーで天井に穴を開けそこから脱出した。
「あ、汚ね!こっちは飛べねーんだぞ!くそっ・・・ステルススキン展開!」
黒いSVFの操縦者ローグが叫ぶと音声が認識され、黒いSVFは姿を消した。
標的を見失ったリファレンス達が工場内で右往左往していたその時である。
ゼクロスの開けた大穴から赤い未確認のSVFが乗り込んできた。
刹那、魔方陣の様な物が展開されるとその場にいたリファレンス達は全て瞬間的に破壊された。
「な、なあ今おかしな事起きなかったか?魔方陣みたいなのが出た気が・・・」
ローグが攻撃をためらっていると赤いSVFは大鎌を構え迫って来る。
「くそ!姿消してセンサー類もジャミングかけてるのに!」
まるでその赤いSVFは姿を消したディファイアンスが見えているかの様に攻撃してくる。
ディファイアンスは間一髪でそれを避けた。
しかし二度目は無い、その時である。
「貴様を組織の敵と判定。排除する」
「ちょっと待て!俺も巻き込む気かよ!」
ゼクロスの操縦者ルークは問答無用でメガランチャーを赤いSVFに叩き込む。
その時爆発音はせず、眩い光が3機のSVFを巻き込んだ。
―惑星ゾラ
ここは魔法の発達した異世界。
魔法以外の技術は地球の中世レベルである。
コアが破損したガラクタ同然のSVFが多数埋没している。
何故この世界にオーパーツレベルの存在であるSVFが存在するのかは依然と不明。
科学技術が未発達なため、魔法により修復・補助を行っている。
今日も今日とて半壊状態の民間製SVFゾークがSVFの発掘を行っていた。
これがこの世界の日常である。
「さあ、観念して貰おうか、エミリア。あまり僕を困らせないでくれ」
「ロードを持ってるからって調子に乗らないでよ!私はあなたの物じゃない!」
ロードとはコアが完全状態の最新鋭のSVFである。
この世界では超貴重な存在だ。
(とはいえ、ルーク達の使っている超次世代型からすれば型落ちするのだが)
エミリアと呼ばれた女性は自分の愛用のSVFリファレンスC(カスタマイズ)に乗ると、
貴族風の男に実剣を突き付けた。
「それは・・・決闘の真似事かい?」
貴族風の男が嘲笑う様に言う。
「真似事じゃないわよ!決闘に勝ったら自由にして貰うわよ!」
「…いいだろう。但しこちらが勝ったら大人しくして貰おうか。このグエン・クリフォードの所有物として」
「(勢いで言っちゃったけどSVFの操縦なんて碌にできないわよ・・・)」
エミリア専用にカスタムされたリファレンスCだったが、カスタマイズされてるのは見た目だけ。
そしてエミリアもSVFの操縦は素人だった。
「くそ・・・!こうなったら破れかぶれ―」
「踏み込みが甘い!」
「きゃあああああああ!」
グエンの専用SVFである紫色のSVF、ロード・クリミアスに乗ったグエンはフェンシングの剣の様な電気ショックを起こすサーベルで何度もエミリアの乗ったSVFを攻め立てた。
「これでその美しい顔に傷を付けずに調教することが出来る!」
グエンがエミリアに追撃をしようとしたその時である。
決闘の場に爆音と煙が上がる。
空から白金のSVFが落ちて来たのだ。
「なんなの?誰が乗っているの?」
「貴様ァあああああああ!!!」
疑問に感じたエミリアが近付く前にグエンが激高しクリミアスのサーベルで突き刺そうとしてくる。
しかしそのサーベルは白金のSVFゼクロスのプラズマサーベルで切り落とされた。
「敵機確認、破壊する・・・!」
ゼクロスはメガランチャーの銃口をクリミアスに向けた。
「待った待った!降参します!」
エミリアはこの時を逃さんとばかりにグエンに告げた。
「この白金の騎士様は私の守護騎士なの。つまり私の代理勝利ってわけね」
「分かりました!婚約破棄でもなんでもさせて頂きます!だから命だけは・・・!」
「やった!じゃあ婚約破棄ね!ねえ白金の騎士様・・・ていない!?」
エミリアがゼクロスの方に機体を向けると、既にゼクロスの姿はなかった…のではなく倒れていた。
そしてSVFの強制射出モードが働き、操縦者であるルークは機体の隣に血塗れで倒れ込んでいた。
「君、大丈夫!?」
ルークは血に塗れた眼でエミリアの顔を見るとそのまま気絶した。
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