第19話
病院の注射を嫌がる犬よりは少しマシな感じで付いてくるエリスを引きずり、もとい引っ張りながら冒険者組合へむかう。ほら、大人しくして、いいこいいこ……噛まないだけマシか。
事前に聞かれた場所へ行くと潰れた冒険者組合の建物があった。焼けてないんだな、なんか重めのものがぶつかったような感じで潰れてる。
こら、帰ろうとしないの!といってもどこかにあるだろう……あっ……あれかな……?
瓦礫の山をかろうじて広げた場所に冒険者組合と軽く焼けた木を掲げ、座り込んでる爺さんだ。流石にこれだろう。
「こんにちは、冒険者登録をしたいのですが……」
「こんにちは、冒険者登録ですね……ここにサインを……はい、これで冒険者です……依頼は……瓦礫処理しかありませんがどうしますか……?」
「……とりあえず受けます」
「金融組合の口座振込にしますか?現金ですか?」
「現金で」
「じゃあ、ここの場所の瓦礫除去で……この秤に瓦礫を持っていって……乗せた後そちらの引き車に乗せてください。あとは勝手に車が瓦礫を運ぶので……帰る時には秤を持ってきて言ってください」
便利だな、説明してる爺さんが気になるけど……。
「クロくん……」
「どうした?」
「登録したし……帰ろ?」
「いや、依頼受けたし……」
「なんで?」
マイペース過ぎない?疲れてるのかな?人に会いたくないんだろうけど……。注射はしたんだから帰るぞ!って感じがすごい。
「いや、瓦礫を量って乗せるだけだし……」
「運べば帰れる?」
「まぁ……」
「……わかった」
なんかペット感があるんだよな。目的ない散歩は嫌いなくせに。
エリスってこんなパワーあったんだなぁ……魔法かな?そんな力ある感じじゃなかったよな。どでかい瓦礫を量って載せて小さいのを俺が担当する。
「なぁ、それ魔法?」
「なにが?」
「その瓦礫持ち上げるの」
「ううん?なんか持てるから……」
「聖剣の力だったりする?」
「わかんない」
じゃあ、仕方ないな……。爺さんは座り込んで芝を手でむしって眺めている。大丈夫か?大丈夫じゃないか……街がこんなになってるんだしな。
「帰ろ?」
「えぇ……?」
でかい瓦礫を10は引き車にのせ、見た目だけなら片付いたのをみてエリスがそういった。さっぱりはしたけど……仕方ないな。
「あの……」
「え、ああ……おかえりですか……えーと秤は、2トン?」
「はい」
「えっ、あれ?……すみません……日が変わってましたか?」
「いいえ……力には自信があるので……」
「あっ、ああ……そうですか……」
「あの給金の方は……」
「ええと……金融組合に行ってくるので待っててもらえますか?」
「はい」
微妙にエリスと会話してる気分だった。だがまぁ、さすがは冒険者組合の人間だ。そんなすぐにこんな量を運べるかと疑ってこないあたりいなくはないんだな。同じようなタイプ。
「今後は……振込だね」
「口座作成も本人確認が必要だと思うぞ」
「……代理人は……?」
「降ろすときにも結局いかなきゃダメだぞ」
「現金でいい……収納魔法はこのときのために覚えたの」
「いや、限度があるだろう」
「前に……リスト化して物が無限に入るカバンが欲しいって言ってから……作った」
「え!!どうやって?」
エリスが言うには家庭用の収納魔法を利用したらしい、面積にきれいに収まるようにする魔法なんだが……壁をぶっ壊して入れれば無限に入るんだとの発想に行き着いたらしい。それ壊れた部分はむき出しにならんかと思ってカバンを触るものの何も無い。発想が俺より柔軟でなんともいえない。魔法が適当というか雑でも発動するからこういう事が起きるのか。
次元魔法とかそんな感じの魔法で作ることを考えてた。発想でも先をいかれると俺の立場がない。
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