第28話【ダンジョン制作】新たな仲間達【1日目】


「えーっと、それじゃあ大天使三人に名前をつけるだけでいいんだよね?」


 俺がフラムにそう確認すると、彼女は丁寧に頷いた。


 大天使3人、天使6人の合計9人の召喚は特に何事もなく成功した。今までの失敗を踏まえて、ローブも用意しておいた。


 そしてもう3度目となった名付けに移ろうとしたとき、フラムにアドバイスを受ける。彼女が言うには、通常の天使に名前をつける必要はないらしい。


 理由としては自我がないため。


 自我がないなんて不思議な感じはするが、他でもないフラムがそう言うならそうなのだろう。


 ちなみに通常の天使の見た目は美しい全身鎧の騎士の見た目をしていて、鎧を外して中を見せてもらったが、白い人影のようなものが入っているだけであった。


 翼と光輪は白と光る金の輪っかという普通の見た目をしている。


 フラムなどの強い天使に同じ鎧を着せて奇襲などもできそうだな?まあ、光輪や翼が特徴的すぎて厳しそうだが、偽装の指輪などを使えばどうにかなりそうではあるが…


 と、そんな先のことはさておいて、今からやるのは大天使三人の名付けだ。


「えーっと、それじゃあまずは…アズリエル」

「はーい」


 名前を呼ぶと、気の抜けたような声で一人の幼女が前に出る。


 黒いボブヘアに黒い瞳。右手には大きな鎌、左手辞書のような分厚い本。サイズが合わなかったダボダボの黒いローブに鷹のような茶色の翼と四角を組み合わせたようなカクカクとした光輪。


 鎌や本ははじめから持っていた。


 メニューに表示されていた内容はこうだ。


⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯

 名前︰アズリエル

 詳細︰死を司りし大天使

 能力︰霊魂操作

 消費︰100,000DP

⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯


 ふむ…調べたところによると生と死に関する天使か…なんか厨二病ぽくていいね。


 ちなみにFW消費量は10,000だ。能力持ちなのに?と思ったが、元から天使が持っている能力と神能は別物であり、天使が元から持っている能力の場合はFWが必要になるわけでもないらしい。


 能力に関する武器だからはじめから鎌や本を持っていたのだろうか?


 ふむ…別に幼女趣味があるわけではないが…かわいいな。


「アズリエル…うーん………アズリーとかでどうかな?」

「りょーですー」

「じゃあ、これからよろしく頼む」

「これからしくです、すたーさん」


 名前が単純すぎる?いやいや、これから数百以上召喚することを考えて、元の名前から外しすぎると覚えれなくなると気がついたのである。


 にしてもすたーさんか…マスターを端折ったのか?別に短くする必要もない気がするが…


 そんなことを考えながら彼女に手を伸ばし握手をしようとすると…


「んー」

「──ん?」


 彼女はその手に向けて頭を傾ける。


 ……撫でろということか?いやでもこれで違ったら突然幼女の頭を撫でだす変態だし…


 そう思いながらも、ゆっくりと手を動かし彼女の頭を撫でると、翼をバタバタと羽ばたかせながら彼女は喜ぶ。


 …………………はっ!危ない危ない、もう少しで彼女の頭で火を起こすところだったぜ。


 ぱっと手を話し、彼女から離れる。惜しそうな顔をしても無駄だぞ!ここはそんなに甘い世界ではないのだ。こらフラム!羨ましいと妬ましい感情で乙女としてあるまじき顔をしてるぞ!


「ふぅ……ごほんっ!続いて…ラグエル!」


 一旦ひと呼吸。落ち着いて咳払いをし、次のメンバーを呼ぶ。


 前に出てきたのはポニーテールにまとめた金髪に翡翠のような瞳を持った美少女だ。シンプルな白いローブと真っ白な翼と輝く光輪。


 これこそ本当の天使!と言うような見た目をしている。見た目は正統派美少女といった感じで、フラムと同じく広い層から支持を得そうな雰囲気がある。


「よよっ宜しくお願いいたします!私はラグエルと言いました!」


 なんで過去形?ラグエルと言いましたって…まぁ正解だけど…


 ビシッと言うような効果音がしそうな勢いで敬礼をする彼女だが、目が泳いでいてなんというか忙しない?印象を感じる。


⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯

 名前︰ラグエル

 詳細︰調和を司りし大天使

 能力︰沈静化

 消費︰100,000DP

⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯


 能力は沈静化、強制的に相手を落ち着かせたりするのだろうか?こういうのはぱっとしないからこそとんでもない能力だったりするからな。


「ラグエルか…じゃあラクナ…とか?」

「はい!私はラクナです!!」


 よし、反応からしてどうやら大丈夫なようだな。


 そしてアズリーと同じように彼女に手を伸ばすと、彼女は恐る恐る手を握り返してくる。細いな…これで戦えるのだろうか?とても不安である。正直、アズリーもラクナもただの女の子にしか見えない。フラムという前例があるとしても少し心配である。


「最後は…カマエル!」

「はっ!」


 最後に出てきたのは短い赤髪に赤い瞳のイケメン。上裸で腰に1枚の布を巻いており、身長は2mほどで、腕や足は俺の二倍くらいはある。白い翼は普通の見た目で光輪は炎の輪であった。

 

 ようやく男性天使が登場である。これはでかいぞ!外見も俺とは比べ物にならないほどのイケメンで、女性人気が爆発しそうな見た目だ。


 なぜ上裸なのかは不明だが…まあ昔の人って絵だと上裸だったりしてたもんな。そういう文化ということなのだろう。


⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯

 名前︰カマエル

 詳細︰破壊を司りし大天使

 能力︰天蝎宮

 消費︰100,000DP

⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯


 天…なんって読むんだこれ?なんか強そうな能力である。


「カマエルか…ん〜カルマとか?」

「幸甚の至りでございます…!主がこの私めに名を与えてくださるなんて…!!」

 

 そう言うとカルマは、涙を流す。


 えぇ…?泣くほどのことでも…うーん…まあ、感情が豊かなのだろう。


「よろしくね?カルマ」


 二人と同じように握手をしようと手を伸ばすと、彼は手汗を入念に服で拭き、そっと、ほんとに触れた?と疑問を覚えるくらいの力で握手をしてくれる。


 まるで大スターにあったファンボではないか。別に俺は召喚しただけの人なんだけどなぁ…


 まあいい。彼が俺のことを好いてくれる事は悪いことじゃないしな。


「それじゃあ、君たち三人には通常の騎士天使を指揮して仕事をしてもらうことになる。アズリーは天使四人を指揮してこのダンジョンの二層の防衛、ラクナは二人ペアで一層の巡回、カルマは二人ペアで二層の入り口で入る人数の管理と、一層で何かが起こった際の応援をやってもらう。まだだいぶ先の話だからとりあえず今はゆっくりしてもらうことになると思うけど…大丈夫そう?」

「りょーですー」

「が、がんばります!」

「お任せあれ!!」


 今後の流れを簡単に説明すると、それぞれから個性的で元気の良い返事が帰ってくる。


 なかなかいい三人を召喚できたのではないだろうか?特にキャラかぶりはないし、色々な性別や年齢の探索者を呼び込めそうだ。


「それじゃあ、ダンジョンの制作に取り掛かるから、終わるまでは…そうだな。みんなで親睦を深めるついでに二層防衛手段とか、トラップを設置する場所とかでも探してきてくれる?それと明日か明後日からはどんどん天使も増えていく予定だからそこのところもよろしくね」

「わかりました。それでは失礼いたします」


 俺がそう言うと、代表としてフラムが返事をし、全員でぞろぞろと部屋から出ていく。


 部屋に結構な余裕ができる。やっぱり早く住居スペース作らないと部屋が天使でいっぱいになってしまいそうだ。俺もプライベート空間がほしいし、これも脳内やることリストに加えておこう。


「まだ余裕もあるし、今日のうちにいろいろ進めていくか」


 最終的な残高を確認する。


──────────────

DP︰98,000DP

FW︰131,000

『召喚』『調整』『交換』

──────────────


 結構節約出来たんじゃないかなと思う。


 ここから宝箱を設置し、宝箱の中身、ダンジョン内を探索する探索者を映すモニターとカメラ、一層の娯楽施設や宿泊施設の増築、天使たちが住む場所、あとは希望を聞いて天使たちの装備などを購入して…最後に防衛ではなく従業員の天使をどんどん増やそう。


 騎士天使ももっと増やして娯楽施設にも配置したりして治安維持も考えないとな。


 少し奮発して権天使や中位の天使を呼び出して一層、二層のまとめ役、代表者的な天使を召喚するのもいいかもしれない…


(やることが多すぎて何から進めればいいのか…)


 とはいえ、何もない、何もできないよりはいいことだ。


 そう思いながらノスターは新たな安価を募集するため、パソコンに向き合うのであった。



──────────────────────

以外特に本編に関係のないあとがき


様々な意見を吟味した結果、50,000DPの天使は自我のない鎧の天使という形で行こうと思います。

(あまり詳しい知識はないのでこれ違うくない?とかの指摘は勘弁してください。リアルではなく、創作の天使と考えてもらえると助かります。階級なども特にこだわっていません)


また、天使の階級はそこまで実力には関係していませんのでご注意ください。ステータスや能力に違いはあまりなく、戦闘特化や支援特化など天使によって実力に差があります。ですが熾天使のみ別格のステータスと能力を持っています。


動物型や異形の天使なども登場させたいとは思っています。

(人型の天使が本気になったら本来の史実の姿になる的な?)

個人的には意見の中にあった獣耳っ子天使というのもありだなと思いましたね…

堕天使は期待しないでください。召喚したときから堕天使ということはないと思います。

弁財天や阿修羅などもありかなと思ったんですが、100,000だと安すぎるか?と思いました。

神や天使を扱う上で力を数字で表すのは色々問題も出てきそうなので難しいところです。

弱体化しているという設定で座天使とか智天使で召喚するのはありかもしれません

今回は普通の天使を採用しましたが、次は中位、上位天使にする予定なのでそこで使うかも…


これからもまた募集するのでぜひともご意見よろしくお願いいたします。

一応また感想で募集しますが、今回送ってくださった天使からも採用する可能性もあります

面白いネタ待ってます!

(名前や外見、性格や能力なども書いていただいて構いません。決して私が楽したいというわけではないですよ?)

(史実でない天使はあくまでオリジナルでお願いします。別の作品のキャラや能力は採用できませんのでよろしくお願い致します)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る