208 空白の10年間

それまで勤めていた

郵便局を

29歳で辞めて

その後

39歳で

今の喫茶店に

勤めるまでの

10年間は

特に大きな

出来事も無い

空白の

10年間だった


その10年間は

本当に

何にも無かった


作家になりたいという

夢を

続けて持っては

いたモノの

いくらおれが

作家になりたくても

詩集

一冊すら

出せなかった


おれにとっては

辛い試練と

辛抱の時代だったが

今となっては

昔のことだ


そんな試練を

乗り越えて

おれは作家に

なれたんだ


まだ無名だし

もらったのは

肩書きだけだが

何にも無かった

ことを

考えれば

天国と地獄ぐらい

今は違っている


とにかく

何にも無いって

いうのは

辛かった


本当に

辛かった

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