第4話 魔王様、話し合う。2

「「「「…。」」」」


 さて、何とか勇者一行を話し合いの席には付かせることに成功したものの、俺はいったい何から話すべきか決めあぐねていた。


 ここに来て俺は、自分が魔王の座についてからと言うもの、まともに面識のない他者と話してこなかった弊害を感じていた。


(う〜ん…そういえば最近、側近とか他の部下達への連絡くらいでしか、まともな会話をしていなかった気がする…。会話の始め方ってどうやるんだっけ…??)


 俺が自分で招いたこの状況をどうしたものかと悩んでいると、魔法使いのような女が痺れを切らしたように苛立った様子でこう言った。


「ねぇ…大人しく席に着いたんだから、話したいことがあるのならさっさと済ませてくんない?

あたし今日友達と呑みに行く約束してるから、なるべく早く帰りたいんだけど…?」


 俺は内心、(魔王との闘いをちょっとした用事かなんかだと思ってんのか?生意気なぁ…!!このガキィ…!!人の気も知らないで…!!!)と握りこぶしを震わせながらも、今日の目的を思い出して冷静になり、早速ながら本題を切り出すことにした。


「…では、コチラから1つ前々から貴様らに聞いてみたかったことがあるんだが。」


 と俺が話を切り出そうとしたその瞬間、ドカァァンッと爆音を響かせながら、玉座の間の扉が派手に爆破された。


「無事か!!!!お前達!!!!もう大丈夫だ!!

この吾輩が来たからには、魔王など手のひらの上の鯉にすぎん!!!貴様の悪事もここまでだ!!!」


 扉の向こうには、いつも通りの痛々しい厨二病ファッションに身を包んだ男が見てるこっちが恥ずかしくなるような決めポーズをして立っていた。


 俺が、(あー、結局コイツも来たのか…面倒だなぁ…あと扉破壊すんなよ…結構高いんだぞ…)なんて事を考えていると、おずおずとした様子で僧侶の女が口を開いた。


「そ、それを言うなら"まな板の上"です。勇者様。

手のひらだと鯉さんが暴れたら落っことしちゃいますよ…。」


 俺は、一瞬変な言葉が聞こえたような気がして、思わず聞き返してしまった。


「ん???今なんて言った???」


「で、ですから…鯉は手のひらではなくまな板の上ですよ。勇者様…と。」


 その時俺は心の中でこう叫んだ。


(いや、勇者ってそっちーーーー???!!!)


to becontinued...

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る