詩集 遠いため息

雨宮テウ

第1話 Röntgen



いつもは目に入らない

花をきれいだと思った


傘を爪弾く雨音が

鼓膜に優しく染みた


透明な 透明な


僕の心の少しを

遠い海のあの場所に

眠らせて

もう少し歩きたいよ


海底に埋めた

心のかけらは

光も届かないとこで

金木犀 香らせる そっと



あんなに不仲だった

風が瞼 下ろす


太陽に照らされちゃいけない

そんな罰を受けたかった


透明に 透明に


君の心の少しを

この木陰の片隅に

眠らせて

時折 思い出すよ


裏庭に植えた

心のかけら

木漏れ日と囀りに触れて

温度を取り戻すといいな


透明だ 透明だ


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