第2話 カチ装備

マイルームに移動しようとして、どうやって移動しようか迷っていると目の前にアイコンが現れた。FUO2のUIがそのまま目の前にあるとか面白い光景だな。空中にタッチ出来る感じでどうなっているのかは非常に気になる。


ユリクリウスとはその場で一旦別れを告げ、マイルームに移動を選択。ついでにマイルームへの入室制限を『制限なし』から『フレンド&チームメンバーのみ』に変更する。この状況で制限なしのままにして、足を踏み入れられるのは勘弁。


マイルームに移動するを選択すると、一瞬でマイルームへワープした。ゲームでも同様の現象が起きていたんだけど、現実となると技術が凄い。変な酔いとか全くしないし……地味にマイルームって広いな。


課金で最大まで拡張しているから、大きな部屋が6つある。壁紙が全部ピンクで目に悪いし、女性物の家具が多いから内装は後で変更だな。


この大きな部屋が、6つもあるのは快適だな。キッチンやシャワー、バスタブなどの家具は個人的な趣味で置いていたけど、置いていない人はどうするんだろう……?


そして個人的には気になっていた存在、サポートロイドと面会する。


「お久しぶりです、マスター。久しぶりにクエストの素材集めを任せに来ましたか?」

「うわ出た」


最初の部屋の左側の扉を開けると、そこには限界まで背を縮めて限界まで胸を大きく設定したロリ巨乳がいた。装備が禍々しいのは、ドロップした装備をそのまま付けているからだな。ドロップした装備と、そのドロップした装備を加工しアップグレードした装備、性能は全く違うがどちらも同じレア度だ。


そしてサポートロイドのステータスは装備品のレア度で決まるため、ドロップした装備、通称『ドロップ品』を装備させている。


最近は目にすることもなかったサポートロイドだけど素材を集めて来てくれるから優秀な機能ではある。NPC枠としてクエストで連れまわすことも出来るし、アイテムのクラフトを頼むこともある。初心者の頃は随分とお世話になった。まあ脱初心者レベルになると完全にキャラクリを楽しむためだけの存在になるけど、それでもアイテムの作製依頼はそれなりに続いたな。


このサポートロイド『コッペパン』はロリ巨乳の美少女であり、綺麗な緑色のチャイナドレスを着ている。髪型は地味に高かった『お団子ヘアS:赤』だし、アクセサリーの『シニヨン』はガチャで出た奴だが、売れば数千万ゴールドを手に入れられるものを使用している。うん、自分の趣味が良く出ている。


「コッペパン、地球人が大量にタキオン船団へ拉致されたことについて、状況説明は出来るか?」

「少々お待ちを。サポートロイド専用ネットワークに繋ぎます。

……申し訳ございません、あまり答えられそうにありませんが、マスターのご質問にお答えします」


コッペパンにちょいと質問を繰り返すと、その情報は回覧出来ませんでしたという回答がほとんどだったが、少なからず情報を得ることは出来た。


・地球からタキオン船団に拉致された人は合計で607万8455人。

・サーバー番号が船団番号に置き換わっており、自身のいたサーバー1は船団番号1番に置き換わっている。

・船団は全部で30あり、サーバー番号に対応している。

・1つの船団に最大20万人程度の人となるよう、人数を調整している。調整対象者はゲームプレイ時間が短い順。

・現在は大いなる闇が一時的封印されてから10年が経過している。つまりは第7章で主人公が命を落としてから10年が経過している。封印が解かれる時期は分からない。


主な情報は上の5つだが、なるほどつまり今この船に20万人の地球人がいるということか。ロビーにいたのは1万人程度だったとのことで、あの規模のロビーが20個はあるとのこと。……人口最多の1鯖から、弾かれた人は多そうだな。


歓迎は、していたかな?まあゲームの中の世界に取り込まれたとしか思えないこの状況、素直に喜べる人は相当な奇人変人だろう。ちなみに自分は喜んでいる内の一人だし、恐らくユリクリウスも内心キャッキャしている。ユリクリウス、この手のラノベは大好きだったしな。


しかも、自分達の位置的には600万人のうちの上位3000人が確定している。というか自分は鯖内で最高クラスの防御力だ。特化型には数値上負けるが、タフ(HP盛り)とカチ(各種防御盛り)の組み合わせたこの装備、よっぽどのことが無い限り倒れない。というか、最近はHPが半分に到達したことがない。


とりあえずサポートロイドにセクハラの類をしても良いのかドストレートに聞くと、基本的にはサポートロイドには人権がないからOKとのこと。「何処を触っても良いですよ?」と言われた時には襲いそうになったけど。その大きなおっぱいに顔を埋めたかったけど、鋼の理性で自重した。


……うん、これ上位プレイヤーにとっては至れり尽くせりの環境だな。サポートロイドなんてよっぽどのプレイヤーじゃない限り、好感度カンストまでは使っているだろう。序盤、中盤の金策や資源集めには必須の存在だし、フレンドがいないぼっちソロプレイヤーは終盤までサポートロイドにお世話になっていると聞く。何というか、都合が良すぎて色々と勘繰りたくなるな。

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