銀河熱血調査団活動報告書

此瀬 朔真

No. 8979 銀河流域南部における珈琲栽培について

定期報告書 No. 8979

新暦 23 年夏季第 3 月 7 日


銀河流域南部における珈琲栽培について


 以下は、衛星都市 xxxx 某所の珈琲店にて常連客から聴取した内容である。


 銀河の南のほとりには、珈琲の木が群生しているらしい。

 木の実は蠍の心臓のように赤く、とても甘い。それを収穫し、種を取り出し、焙煎して珈琲にする。

 隣接している珈琲工房には腕の良い焙煎士がいるらしいが、めったに会えることはないとのことだった。


 焙煎はあくまで軽く柔らかく行う。こうしてできた一杯は、果実の余韻を色濃く残す。

 みずみずしい甘味、爽やかな酸味、寄り添う苦味。

 冷たく仕立てるとさらにすっきりとした風味が引き立つ。

 窓の外に竹林と蝉時雨を楽しみながら飲む一杯はまさに夏のご馳走、だそうだ。


 私にも焙煎士の友人がいる。職人であり求道者、そして何より粋人だ。

 暑い街に棲んでいるから、今頃は汗だくで機械と睨み合っているのだろう。

 今度会ったら、銀河の珈琲の話を聞かせようと思う。



管理者コメント:

報告書は日記帳ではありません。報告書の形式に従ってください。

再提出の際は珈琲店の名前を明記してください。

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