歩むひととせ - 厳冬

 一歩先すら判別できない、純白の闇が視界を埋め尽くす。

 雪深い山中の道なき道を、レイリとフィアは黙々と歩み続けていた。


 やがて二人が辿り着いたのは、一面が氷に閉ざされた白銀の針葉樹林。


「……どうやら、当たりだったみたいね」

「それじゃ、師匠。あれが……?」

「ええ。村を襲った、異様な寒波の元凶はこいつらよ」


 吹きすさぶ吹雪の中で、青白い毛皮を纏った氷狼の群れが二人を取り囲んだ。

 震える指で木剣を握り締めるフィアに、レイリが檄を飛ばす。


「初めての実戦よ。覚悟はいいかしら、フィア?」

「も、もちろんです!!」

「その意気やよし! さあ、気張っていくわよ!!」

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