唐突に渡された真っ白なノート
アンリ
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ある日突然手渡された1冊のノート。
開いて中身を確認するが、どのページも真っ白で何も書かれていない。
「このノートの全てのページを埋め尽くすことが君の宿題だ」
私にそれを渡した人はそれだけ行って去っていく。
何を書けばいいかも告げずに。
……私にとって人生って、そんな感覚だ。
ある日いきなり始まって、人生の宿題を終えるために、ただひたすら必死に生きる。
その終わりがいつかも全く分からず。
宿題の正解も、誰も教えてくれないで。
…………違う。
教えてくれないんじゃない。
そもそも正解なんて、誰も知らない。
人生という宿題に、決められた正解なんてそもそもなくて。
自分なりに答えを見つけていくしかないんだ。
誰かが答え合わせをしてくれるようなものなんかじゃない。
そもそも人生に、教科書はない。
参考書はあっても、それはあくまで参考だ。
本当の答えは私が見つけるしかないんだ。
果たして真っ白だった私のノートは、あと何ページなんだろう。
それが埋まりきった頃、私は満足できるかわからない。
でも、私のなりの答えは、見つけたい。
これから私がこのノートに刻み込むのは、物語じゃない。
人によってはただただ歪な文字の列、意味を持たない怪文かもしれない。
理解できる人間なんて、1人もいないかもしれない。
構わない。
理解されることが、このノートの、正解じゃないから。
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