第2章 異世界幼少期編(オリヴァー)
第5話【遥か遠き日々】
前世のカミシマは異国の古代末期から初期中世に似た世界で生を受けていた。
ゼイウス暦(Z.C)……、その世界は前文明の歴史的な指導者の名前を用いて年号を
そこでは現代と違って魔術や魔法があり、鉄器よりも魔力を帯びた青銅器が人々にとって身近で、人間以外の種族も存在した世界だった。
現世で言う人間、エルフ、ドワーフ、
その世界にはキームン大陸という巨大な大陸があり、その大陸を東西で分断するように中心には巨大なスプリンタス山脈が
キームン大陸はこの広大にして長大な大河と
東側で台頭している魔物の世界では力こそが全てであり、強者弱者による明確な格差があった。 魔物は魔石を核としており、人類種を殺すことで力を奪い魔石に蓄えることでより上位の存在になる事ができた。
そのために魔物は上位の存在になるべく力を常に
一方、西側で台頭している人類種は資源や食料を賄う土地が足りず
人々が欲して止まない金属、木材や魔石は魔物が
つまり、森林が
その為、双方の衝突はスプリンタス山脈の
その『最果ての地』から西側に最も離れた
そして、その国の
Z.C 877年……、その赤ん坊はこの世に
雪が吹きすさぶ中、屋敷の一室には暖炉が
赤子をあやす女性の側には
「奥様、旦那様がおみえになりました」
「わかったわ、……大丈夫よジャクリーン」
しばらくすると奥様と呼ばれた女性のもとに一人の男と幼い少年が歩み
男は女性に
「やっと産まれたのか……、コーネリアよ……大丈夫か?」
「ええ、アーサー……、言ったでしょ? 大丈夫……
ちゃんと産めたわ……、見て目元は貴方そっくりよ」
「そうだな、髪は君に似ているな……、男の子かい?」
「ええ、そうですよ」
「そうか、ならばこの子は”オリヴァー”だな・・・、ほら見てご覧エリック、お前の弟だぞ」
男こと父アーサーは幼い少年エリックに生まれたばかりのオリヴァーを見せる。
「お父様、この子が僕の弟……、オリヴァー」
兄エリックは新しい家族が増えたことを喜びつつ、両親の感心を
「オリヴァーちゃん、貴方にも神様のご加護がありますように……」
母コーネリアは産まれたばかりの子供が無事に育つように祈った。
こうしてカミシマの前世ことオリヴァーはウィンスター家の父アーサーと母コーネリアの間で産まれ、兄エリックを持つことになった。 赤子だったオリヴァーは家族の
この頃のオリヴァーはある
その物語は
神話
はるか昔の始まりの世界には一体の闇の巨人が君臨していた。
その巨体は大地と空を繋ぐが
この世に比類無き力を持つ巨人は大地を
それはもはや収まることを知らぬ、何人にも止められぬ
人々の祈りは神の下に届き、神は巨人の災禍を
神は次に原初の人々から英雄を選び神の
英雄の御業は巨人の闇を払い、魔神の鎧は巨人の暴威を物ともせず、7日間の戦いで巨人を打倒した。
その時の巨人の血が大地に染み渡り魔力の根源となり、巨人が蘇らぬ様に神様は
その後、4柱の魔神達は
聖火で巨人の
暴威で荒れた大地を癒やしたことで神より与えられた使命を果たした後にどこか世界の果てで眠りについた。
世界を癒やした魔神達の力は人々に徐々に伝播し、
聖火より伝わった力を『火の魔導』
澱んだ海を清めた力を『水の魔導』
瘴気を晴らした力を『風の魔導』
大地を癒やした力を『土の魔導』
と人々は呼んだ。
そして……、
原初の人々と火の魔導と流星の欠片が交わることで人間が生まれ、
原初の人々と水の魔導と流星の欠片が交わることで魚人が生まれ、
原初の人々と風の魔導と流星の欠片が交わることでエルフが生まれ、
原初の人々と土の魔導と流星の欠片が交わることでドワーフが生まれた。
こうして、4系統の魔力とこの世界と人類が生まれた。
オリヴァーは最初この物語を聞いて詳しい事はよく分からなかったが、物語に出てくる強大な巨人を倒す魔神達について憧れた。
それは平和な国で言うスーパーロボットや特撮ヒーローに憧れる男子のような
これがオリヴァーの生きる指針になり、魔神達が眠る大陸の果てを
探険家になるためには厳しい修行が必要だった。
何故なら大陸の奥地に行けばそこには当然魔族や魔物が生息し、人を殺して力を奪わんと襲うため、魔族や魔物の
当然、奥地へ赴く探検家はこの例に漏れず相応の実力が求められたので、それを目指すオリヴァーは求められた実力を持つべく修行する事になった。
ここで求められる『実力』とは各特技科目毎に資格制度のような知識と実技を問われる試験を受けて認定を得るという事であり、その試験をパスする事によって証明書のようなアイテムを身につけることになる。
例えば、『
この様な資格試験に対してオリヴァーの
この試験を考案し、人類社会に
そして、資格試験は連合王国の貴族が中心となって執り行っていたので、資格試験を受け
ちなみに特技科目で『準2級』を取得できればその資格試験の
その為、貴族の後継者から外れた
つまり、実力が求められるオリヴァーは通常であれば高い授業料を払って指南役を雇い、高い受験料を払って受験しなくてはならないところ、連合王国の辺境伯の家系であったのでそのような経済面を気にせず幼少の頃から夢に対って
彼の両親はオリヴァーが探険家になる事に様々な思いを抱いていた。
父アーサーは兄弟の後継者争いを
だからだろうか……、優しい親からの修行内容は過酷を極めた。
Z.C883年、オリヴァーの年齢が6歳を数えたある日、母コーネリアは決心した様にオリヴァーに告げた。
「オリーちゃん、ママ決めたわ! ママがキッチリとオリーちゃんを鍛えて探険家になっても危険な目に会わない様にするわ!」
その時、オリヴァーは初めて母コーネリアのズボン姿を目にした。
父アーサーは何やら少し青ざめながら母コーネリアを慌てて静止しようとその肩へ手を伸ばした。
「ちょぉっと待つんだ オリーはまだ幼いぞ、お前が指南するのはまだ早いんじゃなぃ……、うおっ?!」
父アーサーが伸ばした手は母コーネリアの肩に乗ることなく片手で
そのまま母コーネリアは父アーサーとオリヴァーに限りなく命令に近い事を言った。
「アナタ、大丈夫よ オリーちゃんは貴方と『私』の子供だもの、耐えれるわよ オリーちゃんも早く夢を叶えたいわよね?」
その時の二人は黙って
それからの母コーネリアは厳しかった。
まるでどこぞの
そして、父アーサーは魔力の放出量や制御能力に
余談であるが
母コーネリアは父アーサーの指南役をしており、それが
そんな極めて優秀で身近な指南役の下、オリヴァーは探険家として必須となる実力を蓄えるべく修行の毎日を送ることになった。
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【登場人物詳細】
アーサー・ウィンスター
https://kakuyomu.jp/users/DD113Shirenn/news/16818093076378439040
コーネリア・ウィンスター
https://kakuyomu.jp/users/DD113Shirenn/news/16818093076379480384
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