第36話 雪の夜の願い事

カナタとミナの恋が温泉宿の暖かな話題として広がる中、冬の訪れと共に宿は新たな季節の魅力を迎え入れていた。冬の初め、宿は初雪を迎え、その美しい雪景色は訪れる人々に冬の魔法を感じさせた。


その年の冬は例年になく雪が多く、宿の周囲はすぐに雪の白い毛布で覆われた。宿のスタッフとゲストたちは、この美しい景色を楽しむために、特別な夜のイベント「雪の夜の願い事」を企画した。このイベントは、雪の中でランタンを灯し、各自の願い事を書いた紙をランタンに結びつけて空に放つというものだった。


カナタとミナもこのイベントに参加し、二人は密かに互いに対する願い事をランタンに託した。カナタはミナとこれからも長く幸せに過ごすことを願い、ミナはカナタとの関係がこれからも深まり続けることを願った。二人のランタンは、冷たい冬の空に静かに昇り、星々に囲まれながらゆっくりと消えていった。


この美しい光景は、他のゲストにも感動を与え、多くの人々が自分の願い事を真剣に考える特別な時間となった。雪の夜の静けさとランタンの温かい光は、温泉宿に集う人々の心を一つにし、冬の夜の絆を深めた。


イベントの後、ミコトはこの「雪の夜の願い事」を毎年の伝統として続けることを決め、それはすぐに宿の冬のハイライトとして親しまれるようになった。このイベントを通じて、多くのゲストが自分たちの願いや夢を共有し、互いに支え合うことの大切さを再認識した。


カナタとミナの関係も、この冬のイベントをきっかけにさらに深まり、二人の未来に新たな希望がもたらされた。温泉宿の「雪の夜の願い事」は、寒い季節に心温まる光と希望を提供し続けることとなり、訪れるすべての人々にとって忘れがたい体験として記憶されるのだった。

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