第2話 異次元からの宿泊客
夜が更けていく中、ミコトたちは新たな現実に興奮しきりだった。8ビットのキャラクターたちが現れたことで、彼らの企画は予想もしなかった方向へ進み始めていた。
朝、目を覚ましたミコトは、一晩の出来事が夢ではなかったことを確認すると、仲間たちと計画を練り直すことにした。「これからどうする?ただのゲーム配信だけでは、もはや収まりきらないよね。」
レオはゲーム機をいじりながら答えた。「これらのキャラクターたちがいることを活かして、新しいコンテンツを考えよう。彼らとの日常や、ここでの生活を配信するのはどうだろう?」
サラは、キャラクターたちが平和に過ごせるよう、彼らとのコミュニケーション方法を模索し始めた。一方、カイトはこの現象を商機と見て、配信以外のビジネス展開の可能性についても考えていた。
その日の配信では、8ビットのキャラクターたちを紹介することになった。名前はそれぞれ、勇敢な戦士「ソード」、賢い魔法使い「マジカ」、そして陽気な盗賊「ピクシー」だった。配信中、彼らは自分たちの世界から来たこと、そしてこの世界のことを知りたがっていることを話した。
配信は大成功。視聴者たちは8ビットキャラクターたちの魅力に引き込まれ、コメント欄は興奮したメッセージで溢れかえった。そして、配信を見た一部のファンが、宿を訪れてみたいと申し出たのだ。
「まさか、こんな展開になるなんて...」ミコトは驚きつつも、温泉宿をリアルな交流の場として、キャラクターたちと一緒に開放することを決意した。ただし、宿はまだ修理が必要な状態。それを知った8ビットキャラクターたちは、自分たちにできることを手伝いたいと申し出てきた。
そうして、ミコトたちと8ビットキャラクターたちの共同作業が始まった。ピクシーは狭い場所に入っての掃除を、マジカは古い設備の修理を、ソードは重い荷物を運ぶ作業をそれぞれ引き受けた。
作業を進める中で、ミコトたちは8ビットキャラクターたちとの間に深い絆を感じ始めていた。彼らは異次元から来た宿泊客かもしれないが、今や、この温泉宿にとってなくてはならない存在になっていたのだ。
「ピクセル湯けむり慕情宿」の冒険は、まだ始まったばかり。彼らがこれからどんな日々を過ごすのか、誰もが期待に胸を膨らませていた。
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