第5話 退院


「あーしの勝手だろ?」

「ちょっと!私は好きよ?シオンが!」

「あ、あーもう、気になって眠れないほど好きになっちゃったんだからしょーがないじゃん」

「あらら、シオンはモテモテね」

 女3人寄れば姦しいとはよく言ったもんです。

「まぁ、助けられたらそーなっちゃう?」

「あーしもビックリしたよ」

「私もビックリだよ!あんた男そんな好きになってない…てか初恋?」

「わ、悪いかよ?」

「悪いけど譲れないから!」

「まぁ、あーしの方が抱かれてっからね!」

「私だって抱き寄せて連れ帰ったんだから!」

「んー、…イーブン!!」

「「ジャッジすな!!」」

 夕陽が眩しい夏の終わりだった。



「おっさんパワーーー!」

「すごいですよ!ちゃんと歩けてます!」

「うおぉぉ!」

「もうちょっと!ゴール!…お疲れ様でした」

「ふう、これだけ歩けるようになったのも太一くんのお陰ですよ」

「いえいえ、僕なんて応援しかしてないですからね?おっさんパワー凄いです!」

 私はようやく歩けるようになってきました。流石にもうそろそろ歩きたいですし無茶は承知で頑張ってます。


 二週間後にはもう歩いて下の売店にお菓子を買いに行けるようになりました。

「そろそろ退院ですね」

「そうですか!やりましたね!」

 ようやく病院ともおさらば出来ますね。半年ほどお世話になりましたよ。

「いやぁ、寂しくなりますね」

「またまた、そんなこと言って悲しませないでくださいよ」

「あはは!僕のヒーローですよ、清田さんは」

「あはは、私こそ治してくださったあなたがヒーローですから」

「あはは、ではお互い元気に頑張りましょう」

「そうですね!ありがとうございました」

 それから2日後に退院だ。

 結局会社のみんなは一回だけ課長が見にきただけだったな。それと、母さんには着替えなんかをお願いして申し訳なかったなぁ。

「まぁ、母さんは連絡したし、会社にも連絡入れたからよしと!」

「何がよしなのよ?」

「おわっ!ビックリしましたよ」

「もう!今日退院なら言ってよね?」

「そうだよ!あーしらにも連絡!」

「そうですよって!連絡先交換してないじゃないですか!」

「そうなのよ!忘れてたのよね?」

「あはは、じゃあ連絡先交換しますか」

「「「はい!」」」

「えーとどうやって?」

「番号言って!かけるから」

「はい!」

 と言うことで番号交換してLUINの交換してしまいました。3人も女子高生の連絡先が入ってしまいましたね。


「さてと、じゃあそろそろ帰りますか!」

「まだ昼だよ?」

「あ、今日はどうしたんですか?」

「テスト期間だから早いの!」

「あ!そうなんですか!じゃあ、帰って勉強しないと!」

「今日で終わったからきたの!」

「あ!そう言うことですか!」

「そ!う言うことだから!お部屋拝見!」

「え?私もまだ帰ってないのにですか?」

「そっ!掃除くらいしてあげるからさ!」

「え、えー!」

 と言うことで、どう言うことで?まぁ、女子高生が来るような場所ではありませんが自宅に向かいます。

 まぁ、そこまで遠くないですから今日はリッチにタクシーですね。


 まぁ、アパートの2LDKなので3人きても狭いと言うことはなく。コンビニでお菓子なんか買って帰ります。はぁ、母さんが掃除しといたと言っていたからどうなっていることやら。


「へぇ!結構いいとこじゃん!」

「まぁ、都内ですからね」

「どこ?」

「一応角部屋ですね」

「あ、結構手紙が届いてますね」

「パンパンじゃん」

「なんでしょうかね?」

 と、取り敢えず手紙の束を持って家の前まで行くと鍵を開ける、おややさをわう。

「段ボールに手紙?」

 部屋に入ると段ボールが一つ置いてあり、手紙の山だった。

「すっごいじゃん!」

「ファンレターだね!」

「ええ!そんな、私にですか?」

「そりゃそうでしょ?ヒーローだもの」

 私にファンレターなんて変わった人もいるんですね。


 みんなでお菓子を食べながら今日焼肉に行くことが決まったのでサトミに予約して貰う。

 サトミの家に行く。焼肉屋らしく、テーブルに案内されると肉を持ってきたのはサトミのお父さんらしい。

「今日は来ていただき本当にありがとうございます。林健二郎と言います」

「ご丁寧にありがとうございます。清田紫音と言います」

「お会いできて光栄です!私あなたのファンになりまして」

「そんな、お恥ずかしい限りです」

「何を!堂々と胸を張ってください!それだけのことをあなたはやってのけたんですから」

「は、はい!ありがとうございます」

 と握手を交わす。

「今日は退院祝いだそうなのでいっぱい食べていってくださいね」

「はい、そうさせていただきます」

「あ、後でサインお願いしますね」

「え、えぇ?サインですか?」

「はい!飾らせてもらいますので、それでは」

 はぁ、私のサイン?私サインなんて書いたことないのに…

「適当に名前書けばいいよ!」

「そうそう!それより食べよ!」

「そ、そうですね!食べましょう!」

 さすが高級焼肉店、美味しくてつい頼みすぎてお腹いっぱい食べてこの値段なわけがない。

「お父さんも満足してるし大丈夫!」

「本当にありがとうございます。美味しかったです」

 と最後にサインを書いて帰ります。

 2人はタクシーで送り、家まで歩いて帰ります。

 ちょっと肌寒くなってきましたね。

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