生の苦しみ、我が嘆き


どうしてこんな目に合わなくちゃならんのか


どうしてこんな苦しみを抱えなくちゃならんのか


どうしてこんなふうに生まれてしまったのか


どうしてこんな

優しい家族に面倒をかけなければ

俺は生きていかれんのだ


どうしてこんな有様で

俺はまだ生きている?


どうしてこんな生だと云うのに

俺は“生きる”ことにしがみつく


どうして

どうして

どうして


どうしたら此処から抜け出せる


どうしたら痛みに喘ぎ怯えなくて済む


どうしたら汗みずくで飛び起きる夜が無くなる


どうしたら家族は“お荷物”を抱えなくて済む


どうしたら俺は家族へ縋ることを辞められる!



俺は弱い

生きることがこんなにも苦しい癖に

死ぬことすら出来ぬ

こんなにも恵まれているのに

みっともなく喚くばかりだ


未練を捨てられない

情を捨てられない

希望を捨てられない!!


恨めしい

恨めしいよ

この世も、病も、弱い身体も、弱い心も

なにより、其れを良しとするもう一人の俺が


布団の中で背を丸めて

頭の中だけが動いている


俺は業突く張りだから

あれもこれも全部欲しいし

幾ら諭されたって

愚かな真似を辞められない


けれど、けれども

一番欲しいものは

もしもひとつだけ、

それをお前にやろうと言われたのなら


あの優しい人達を

どうか幸せにして欲しいと

他力本願に願うんだろう


そう願う己に酔いながら





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