第39話 エジサス
「エジサスおまえ無事だったかー。」
先輩商人スリーゲーブは商人ギルドでエジサスを見かけてかけよってくる。
「ああ、先輩どうしたっすか?」
スリーゲーブは皇帝の布告や自分が勇者と遭遇した話しをした。
エジサスがぶるぶると震えだした。
「だからさ、前に言ったあの計画はやっちゃダメだぞ。」
エジサスの顔色がみるみる変わっていく。
「えっ、もうやっちゃったの?」
エジサスがコクコクとうなずく。
「で、で、でもここにいるって事は?」
「先輩と一緒、準備中に勇者が来てギロって見られただけ。」
彼らからは勇者がそう見えるんだね。
「もう、それだけで腰が抜けちゃって冒険者に担いでもらって慌てて撤収したから後の事は何にもわからない。」
「ただダンジョンの近隣の村人が何を勘違いしたのか大勢集まってしまってコスプレ大会みたいになっていたから勇者の目をごまかせたかも。」
「なんじゃそれ?」
「勇者にはこっちの企みごとなんか全部お見通しなんだよきっと。」
そんなバカなとスリーゲーブは否定したい所だ。
だが他に同じような計画を実行したもの達が必ずと言うほど勇者と遭遇して慌てて撤収している。
実際に自分もそうだった。
そのおかげで計画が未遂に終わり勇者に見逃されているようなもんだ。
少し間違ったら帝国が滅亡していた。
こわー。
エジサスの話しだと勇者一行は大人っぽいのは剣聖の女だけで、あとは女の子の勇者とやはり女の子の錬金術師。
それから、なんか小さな男の幼児と子犬だったそうだ。
なんだか剣聖が子守で大変そうで気の毒だな。
それ、勝手な憶測なので。
さすがにもうこの計画で動いている奴はいないだろう?
エジサスが首を振っている。
「いや、オレ結構たくさんの商人仲間に話をして焚き付けちゃったよ。絶対皇帝が喜んでくれるって。」
「はーっ。まずい、まずい、まずい。止めないと。」
「どうやって?」
とりあえず帝国のギルドからこの計画の禁止の案内をしてもらって。
やらかしそうなダンジョンに連絡員を送って。
そのへんにいる商人にも協力してもらおう。
こんなはずじゃなかったんだけどな。
その頃、皇帝のおふれなんかとは縁のない新興の商人ウックルやペダフル達は各々の手先達に計画の説明をして盛り上がっている。
「エジサスさんにいい事聞いちゃったね。俺たちがなり上がる絶好のチャンスだぜ。」
「絶対皇帝に喜んでもらえるって。」
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