第103話 一方では学校、一方ではダンジョンとかいう意味不明な事象に巻き込まれた件について。
スッキリした。
久しぶりにたくさん寝た気分である。
実際は少し前に寝てはいるのだが、そんなものあの苦痛と疲労の前では寝たことには入らない。
それにしても耐性とか無効とかのスキルは正常に作動しているのだろうか?
ふと、苦痛さがおかしいことに疑問を持った。
だって考えてみろ。
軽減しかも割合軽減、一部に渡っては無効だぞ?
それでこの苦痛加減は頭おかしい。いや狂ってる。
働いていたとして、なんで無効に当たる部分からも苦痛を感じているのかという疑問も湧く。
つまり、耐性スキルが正常に働いている様子は見られないということか。
[耐性スキルはあくまで物理的な身体に関するスキルがほとんどです。そのため、一部の耐性スキルは精神への直接的な干渉には効果がありません。また、『魂干渉無効』のスキルについてですが、『叡智』や『
うわぁびっくりした……急に話しかけてくんなよ。
今寝起きだぞ俺。
……それにしても、
それと最後の《が?》はなんだ《が?》は。
ムカつくって分かっててやっただろ。
明らかに『そんなことも知らないんですか? 馬鹿ですか?』ってミーニングだったろよおい。
煽ってるよな? なぁ?
ここにすこぶるウザい奴がいまーす。ウザさが天元突破している奴がいまーす。
誰か消し去ってくださーい。
[エクストラスキル『天元突破』を獲得しました。]
……あまり余計なことは考えない方が良さそうだな。
今、俺の日常が変になった初日のスキル通知のウザさに戻りつつある。
このままではあの終わった状態に逆戻りだ。
それは困る。
あれだけ色々入手してきて、それでいてまだまだ通知されるとか本当に狂っていると言わざるを得ないのだが……
待てよ? もしかして俺をイジメるためにスキルをわざわざ作ってるとか?
そう考えたら今までの意味不明な説明文とかも説明がつく。
というか、普通に考えてそうだよな。
存在吐瀉物とか存在意義すら分からない、意味不明なスキルだもんな。
あーそれでいうと称号の超重溜息何とか砲も多分元から無かったよな。
おっと? これって正解じゃないか?
[……はぁ……現段階の情報からは断言できません。]
うーん……いやでもどう考えてもあれは無いとかいうのが普通にあるしさ、俺の予想合ってるんじゃね?
絶対に合ってるだろ。
仮に合ってたとしたらこのスキルは相当に俺を貶めたいと見える。
そっか、敵か。
というか初めから敵だったわ。
でもなあ……だからといってどうにかできる訳じゃないからなぁ……
もしくは、本当に誰でも良いから対処してくれれば良いんだけど、それは現実味ないしなぁ……
果たしてこんな状況で、俺に平穏は来るのかよ。
胃がキリキリするどころじゃない。
胃に穴が開きそうだ。
それはそうと、最初の溜息は何なんだよ。
別に必要ないよなぁ? あまり煽るのはやめろよ。
精神が限界のときの煽りって結構効くんだよ……
いつもは適当に流せるよ? でもなぁ、こういうときは流せないんだよ!
[ユニークシナリオ『水と炎の饗宴』が進行します。]
[警告、個体名:鈴村習の魂が出身世界から世界:イルシオンへの適応に移行を開始しました。鈴村習の魂を出身世界に固定するため、本体の一部を出身世界に帰還させます。]
はい?
なに意味わからないことを言って……
[スキル『分身体レベル1』を獲得しました。]
[ユニークスキル『自己分割』を獲得しました。]
[ユニークスキル『自己分割』を使用します。分割率は50パーセントです。]
おい、何勝手に話を進めて……
なんか視界が二つに増えた?
情報量が多い。
正面が2つとかいう意味不明事態なんだけど。
これってどっちがどっちなんだよ。
うーん……片方で動こうとしても両方動いちゃうしなぁ…
マジでどうしようか。
おっと? 片方の視界が変わった?
あ、学校だ。
つまり戦いながら学校生活を送れって言いたいのかこの鬼畜野郎。普通にどっちか片方だけだろ。
戦闘中に他のことを気にしないといけないなんてあんまりだ……
「え、いつの間に習くん帰って来たの!? あでもそっか、はすみんも帰って来てるもんねー。そりゃあそっかぁ」
「はすみん……? 誰?」
「え!? はすみんはハスミンだよ!? 知らないなんてことはないでしょ」
「……あ、羽澄さ……ひかりさんのこと?」
「そそ。っていつの間に下呼びになったの!?」
「まあ冒険の過程で色々ございまして……その結果です。」
「なんで敬語なの? まあいいや」
「ちなみに次ってなんの授業なんだ?」
「よくモニョモニョ言ってる先生の……確か物理だよね!」
「よりもよってその一番分かりにくい授業かよ。」
それに加えて普通に問題を当ててくるから予習の必要は本来ないにも関わらず、予習必須になっている物理である。
本当についてない。
「まあ仕方ないよね! さあ行こっ!」
もしかして今日って移動教室なのか?
休んでた(実質休んでない)のせいでどうにも良くわからない。
いや、紛らわしいなコイツ。
全然移動教室じゃないじゃん。
購買の一人一個限定パンが2つ欲しかったから俺を使いたいのかよ……まあもちろん断るけど。
せめてクラスライムにくらい情報が送ってくあってくれてもよくないか?
あー実質予習も何もできてない状態で授業を受けることになるのか……それってかなりキツくね?
だって訳せと言われたところも分からないし問題がなにかすら分からないからな。
ともかく、授業に集中しつつ戦わせようとしている
俺はなれない2つの画面が重なったような気持ち悪い視界の中で、火の精霊のダンジョンの扉を開けた。
灼熱の海、溶岩の滝……なんかクソ暑い。
ここで火の精霊探すのか?
マジかよ……俺、授業も受けないといけないんですけど?
クソ過ぎだろぉーがよぉ!
俺はそんなことを思いつつ、少し諦めながら前に進み、片方では授業に臨むのだった。
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