第91話 色んなことが起きすぎて軽くパニックになりそうな件について。
スキルの入手の通知は鳴り止んだ。
全てのスキルがレベルMAXになった。
それと新たに数十個のスキルを入手したんだと思う。
そして大体統合された。
12個くらいに圧縮されていたような気がする。
正直うるさ過ぎて耐えられなかったから精神を回復させるのに必死で聞いてなかったからうろ覚えだけど。
この量は沙耶との訓練以来、ものすごい情報量だったな。
そしてスキルの通知が鳴り終わった僅か5分後、うるさい音が鳴り響き始めた。
本当にうるさい、うるさ過ぎる。
この音声をいつまで聞かないといけないのだろうか。
さっきから馬鹿みたいに誰かさんから連絡が来てますとかうるさい通知が来ている。
ウンディーネさんもフィーもクソ鳥も連絡が来たらちゃんと誰なのか表示されるハズだし、無視しても大丈夫だろう。
そう思っていたのだが……これは苦痛である。
通知簡易制御ではこの通知は途中から切ることしかできない。
それに、通知は連絡つまりこの連絡をしてくる人が連絡を入れる度に通知が鳴り響く。
これぞ当に地獄である。
しかし、厄介事には関わりたくないので連絡先が分からない連絡は無視する。
それに相手は俺に念話での連絡を何度も試みているようだから、いつか能力使用で疲れて諦めてくれるだろう。
それまでの辛抱だ……頑張れ俺。
[グランドシナリオ『白亜の魔女』が進行しました。]
えっと……何でか分からないんだけど?
「お主、ちょいと来るのが遅すぎじゃ」
あんた誰だよ。
俺の知り合いにこんな小学生みたいな見た目でお爺さん口調な子は居ませんけど?
この子……さては厨二病……はぁ……疲れる。
どうせ迷子か何かだろうな。
「僕、一体どこから来たの? 迷子? それならお兄さんが街に……」
「全く……ワシに子供扱いとは、もう少し尊敬の念を持って接したらどうなんじゃ」
その声と見た目で言われてもなと思う。
小学生特有の高くて幼い声、110センチくらいの低身長、そしてツルツルの童顔で言われても……ねぇ?
どこからどう見ても小学生……まあ、この世界に小学校が有るかは別として、大体七歳くらいにしか見えない。
圧倒的な違和感が俺を襲う。
「ワシ、結構待っていたんだぞい」
知らねぇっていうか、頭がおかしくなる。
あと見ててすごい恥ずかしくなる。
これが共感性羞恥か……
「そうだよ! 俺達めっちゃ待ってた!」
うん?
見た目めっちゃおじいさんじゃん。
でも筋肉ムキムキ……なんだろう異常に違和感がする。
あれ? これって俺がおかしいのか?
子供がおじいさんでおじいさんが子供……うっ頭が。
ヤバいなんか、ヤバい。
紐に何か繋げてる……あ、ペットか。
ん? どうしてこんな危険な場所にペットを?
あー使い魔とかかな。
可愛い猫ちゃんだなぁ(現実逃避)
「ニャー!」
「ぶほっ」
何その初見殺し的な笑わせ方。
うん、この人たち何もかもあべこべだ。
ってことはあの子の方に乗って猫ちゃんは……
「ワン! ワン!」
だよな。知ってた。
えっと……何カオス展開。
圧倒的に意味が分からないんだが?
中身入れ替わってませんかね?
「あーえっと……その人たちはよく分からないけどイルシオンの猫は犬とほぼ同じ習性、犬は猫とほぼ同じ習性だったはずだよ」
あーね。
異世界だもんね。そういうこともあるか。
そういえば念話の通知が止んでる……もしかしてこの人たちからだったのか?
うん……
「えっと……? なんで私こんなところにいるの? えっ? え? えー!?」
あ、もしかして白亜の魔女の状態から羽澄さんさんの状態に戻った!?
いや、記憶取り戻したんじゃなかったのかよ!
[記憶の再封印を代償に上位存在の討伐を成し遂げたものと思われます。]
あ、そう……うんやっぱりカオスだ。
この人たちも意味が分からないし。
「そういえば俺らの名前言ってなかったな! 俺エンシェントドラゴンのレイってんだ宜しく!」
うんと……ドラゴン?
何処かで聞き覚えが……あ、目的地の場所も竜の巣だったような……えっと……あっちから来たってことだよな。
にしても見た目が……終わってる。
「ワシはバハムーチョのオーレイスじゃ。今日はソナタたちに……」
「……バハ、ムーチョ?」
え、バハムートじゃなくて?
バハムーチョなの?
何それ、名前がネタじゃん。
「コホン……ワシはバハムーチ……バハムートのオーレイスじゃ。今日はソナタたちに託さねばならん物が……」
ただの良い間違えかよ。
あのさあ、『チョ』と『ト』っていい間違えるか?
普通に言い間違えないと思うけど……それは一旦置いといて今のを無かったことにするのは流石に無理があるだろ。
それにまた噛みかけてたし。
あとそのまま淡々と続けられても困るんですけど。
「ワシは遥か昔、白亜の魔女殿にこの杖とローブ、魔導書を託されてのう……ワシが預かっていたものをそのおなごに返そうと思ってのう……」
おい、そのまま話を続けんなよ。
あとそんなことで一々グランドクエストを発生させるなよ。
キショすぎなんだけど。
まあでも……これで終わるって考えたら……まあいっか。
「あの……ワシ、それを伝えに来たんじゃ」
えっと……その、物品は?
流石に持ってきてるよね。
場所教えてくれないかな?
「それってどこにあるんだよ……」
あ、つい口に出してしまった。
「あの、そのワシ……持ってきてない……」
おいっ!
そこは持って来る前提だろ!
「おじいちゃんは頑張ってたんだよ! 許してあげてよぉ! 俺はおじいちゃんが大好きなんだよ!」
最初のは許せないけどまだ分かる。
後者のは一体なんの情報だよ。
急に個人の感情持ってきて……好きとか嫌いとか今関係ないよね? ね?
「はあぁーー」
話が通じなさそうな見た目がアベコベな竜の子と孫の家族を見たり、突然記憶を失って困惑してる羽澄さんを見ながらあまりのカオスっぷりに俺は盛大に溜息を吐くのだった。
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