第23話 心の灯りを照らす音楽

雅史と神子の名声が地域で広まる中、二人の演奏は多くの人々に愛され、心の支えとなっていった。新たな試みとして、彼らは地元の病院で月一回の演奏会を開始することにした。この演奏会の目的は、患者たちに音楽を通じて癒やしと希望を提供することで、彼らの回復を精神的に支援することにあった。


最初の演奏会の日、病院のリハビリセンターが小さなコンサートホールに変わった。雅史と神子は、患者たちに少しでも楽しみを与えられるよう、特に心温まる曲を選んだ。彼らが演奏を始めると、空間はやわらかな音色で満たされ、聴く人々の表情にも穏やかな笑顔が見られた。


特に感動的だったのは、「癒やしの旋律」と名付けられた新曲で、雅史のゆったりとしたピアノと神子の温かな歌声が完璧に調和していた。この曲は、患者だけでなく、医療スタッフからも高く評価され、多くの人々に安らぎを提供した。


演奏の最中、一人の若い女性患者が特に感動して涙を流しているのが雅史と神子の目に留まった。演奏終了後、彼女は二人に近づき、心からの感謝を表した。


「あなたたちの音楽を聴いて、久しぶりに心が軽くなった気がします。病気と向き合う毎日が、少し楽になりました。本当にありがとうございます。」


この言葉に、雅史と神子は改めて音楽の力を実感し、彼らの活動に新たな意義を見出した。二人は、音楽で人々の心に灯りをともすことの大切さを再確認し、これを続けていくことに一層の決意を固めた。


「神子さん、私たちの音楽がこんなにも人を支えることができるんだね。これからも、この活動を続けていくことが、僕たちにとって大切だと思う。」


「はい、雅史さん。一人でも多くの人に希望を与えられるように、私たちの音楽で心の灯りを照らし続けましょう。」

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