第13話 音楽の休日

成功と挑戦を続けてきた雅史と神子にとって、音楽が生活の中心であることは変わらない。しかし、二人だけの時間を過ごすことが少ないことに気付き、雅史は神子をデートに誘う決心をする。彼は、日々の活動から少し離れて、二人だけの特別な時間を作りたいと考えた。


「神子さん、今週の日曜日、一緒にピクニックに行かない?」雅史の突然の提案に、神子は驚きながらも嬉しそうに笑みを浮かべた。「うん、いいね。雅史さんとゆっくり過ごせるのを楽しみにしてる。」


日曜日の朝、二人は準備をして近くの公園に向かった。静かで広々とした公園は、都会の喧騒を忘れさせてくれる場所。雅史は神子の好きな食べ物を詰めたピクニックバスケットを持ち、神子は小さなポータブルスピーカーを用意して、二人の好きな音楽を流す準備をしていた。


彼らが選んだピクニックスポットは、公園の一角にある小さな池のそば。水面に木々が映り込み、風がそよぐ様子は、まるで絵画のような美しさだった。雅史はシートを広げ、神子はスピーカーから穏やかなクラシック音楽を流し始めた。


二人はお互いに手作りのサンドイッチを食べ、フルーツを分け合いながら、普段の忙しさを忘れて過ごした。話題は音楽から始まり、お互いの子ども時代の話、夢、そしてこれからの希望に及んだ。


「音楽以外でも、こんなに楽しく過ごせるなんて思わなかったよ。」雅史が言うと、神子は優しく微笑んだ。「私も。今日は本当に特別な日になったね。雅史さんがそばにいてくれて、すごく幸せ。」


午後になり、二人は公園を散歩し、時折、止まっては周囲の自然を楽しんだ。また、たまたま公園で開催されていた小さな音楽イベントに遭遇し、知らないアーティストの生演奏を聴きながら、さらに二人の絆を深めた。


日が暮れかけたころ、雅史と神子は手を繋ぎながら公園を後にした。二人にとって、音楽がもたらすつながりは特別なものだが、この日は音楽以外の共有の時間が二人の関係をさらに豊かにしたことを感じていた。


「今日はありがとう、神子さん。また、二人でこうして過ごす時間を作ろう。」帰り道、雅史が提案すると、神子はうなずき、「約束ね。」と応えた。

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