第19話 ハピエン厨は解放する。

【災害真力】とは神獣のもつ『神力』と自らの『霊力』・『魔力』を合わせることで強大な力を生み出すつかさの固有術式である。つまり、この力は


「どうしたものか。」


 こんな攻撃時間稼ぎにしかならない。やつが霊力に順応すればこんな攻撃ほとんどダメージにならない。...これでも大技何だけどな。並の陰陽師なら一瞬で塵すら残らず消滅する技なのに。これが神竜。


「お主、よもやこの程度の技で終わらぬよな?【風圧】」


 竜王がそう唱えた瞬間、【災害真力・乱】と【風圧】がぶつかった。その衝撃でつかさは顔をしかめる。


「うっ...」


 さすが竜王...。【風圧】で【災害真力・乱】を止めるとは。これは流石に予想外だ。


「もっと強い術を使う必要がある、か。」


 もっと強い術。使えないわけではない。というかぜひとも使いたいのだが、現在生成している結界が耐えきれない可能性がある。結界が崩れてしまうと、その術の影響が下界にも影響するかもしれない。それは困る。そのため容易に使うことができないのだ。


 はてさて、どうしたものか。竜王にだけ影響が出る術とかないかなあ。...結界強化も視野にいれるべきだが、結界維持の消費霊力が半端じゃないんだよなあ。

 神獣を維持している霊力を回せば行けるかもしれないが...。

 いや、一か八かやってみるか。

「みんな。僕だ。一回結界維持のために召喚を切る。」

『『『『『了。』』』』』


「【召喚解除】。そして結界術【強化】【災害真力・負】」


「なんじゃ?この闇は。」


 結界を強化した後、僕は【災害真力・闇】を使用した。この術はあたりを闇でおおい、相手の視界を奪う効果がある。いま相手は目が見えない状態だ。


「こんなのわらわの【龍の目】を使えば...なぬっ。何も見えぬじゃと!?」


 そう。これは闇。永遠の闇。人間の負の感情を具現化する術。よって、龍の目でさえその奥を見ることはできない。人間の闇はどんな生物が持つものよりも暗く深いのである...。


「くっ【神古竜竜息グラストドラゴンブレス】!」


 竜王が神竜の姿になり、闇雲にブレスを撃つ。つかさはそれを避けつつ、結界を強化する。


 僕は神妖御剣シンヨウミツルギを構える。魔力は込めない。気づかれるわけにはいかないからだ。この状況で竜王を倒すためには魔力を使うことも霊力を使うこともましてや神力を使うことも叶わない。なら魔力も、霊力も、神力も使わずに竜王を仕留めるためにはどうすれば良いか。


 それはだ。


『型』とは、つかさが渡った99の世界のなかで、剣技が発達した世界があったのだ。そしてそれらの中でも、卓越した技のことを『型』と呼ぶのだ。


 刀をさやにしまう。深く息を吸う。足に力をいれる。細胞と血管すべてを認識する。空気を全身に届かす寸前で血液を止める。そして一気に血液を流すっ!!


【『捌型』真刀鳳居合い切り】っ!



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【竜王ムーサルト・グライアス視点】

 暗い、一切先が見えぬ。これは、闇。経験したことがない。このような闇。

 ああ、やめてくれこっちに来ないでくれ。闇が怖い。


 竜王は竜の姿になる。ブレスを闇雲に撃つ。しかし闇は晴れない。

 ああ、わらわは、わたしは、なんなのだ。人に恐れられ、下界から追い出され、勇者に家族を殺され、人の闇に触れすぎた。


 ああ、だから人間とは関わりとおない。その時の感情に、利益に流されて、約束なんぞ守らない。種族同士で殺し合い、他の生物を怖いという理由で殺した。


 お前もそうなのか?つかさよ。お前にあったとき、わたしは他の人間となにかが違うと思った。だから話しかけた。戦った。きっとお前は違う。つかさ。お前はなのだ 勇者の魂でないのにここまで神の加護を与えられている人間は初めてだ。勇者の魂よりもまとっている神力が多く、強い。お前なら救えるかもしれない。すべてを。


 ああ光が見える。見えるはずもないのに。光を求めるがためついに狂ってしまったか。


 龍の眼は一瞬捉える目の前の希望の光を。


「ああつかさやはりお主は希望の光なのだな。」


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「ふう。なんとか殺さずに倒せたぁ。長距離居合術久々に使ったから疲れたなあ。もっと慣れとかないとか。今日から毎日訓練かな〜。にしても希望の光ね。僕は闇だと思うけどなあ。」


 そういったつかさは竜王を抱える。そして結界を解く。


 つかさが結界を解いたことで竜種たちは彼らを見ることができた。


 彼と竜王を見た竜種たちは目を見開いていた。

 つかさも竜王も傷が一切ない。しかし、竜王は気絶していた。


「我らが戦おうとしていた相手はムーサルト様よりも強かったというのか...。」


「挑もうとしていた私たちが馬鹿だったねぇ。」


「われですら彼に勝てる構図が見えぬ。」


「人間風情だなんてもう言えないね。」


「俺等が馬鹿だったってことか。」


「私ははじめからあなたが強いこと知ってました!」


「調子にのらないほうがよいですよ。私は彼から2つのオーラを感じていました。」


 竜種たちが口々に感想を述べると、ちょうど竜王が目を覚ました。


「ん?ここは...。あれ?私なんで死んでないの?っあ。み、皆のもの!?つかさお主禁術を使っておらぬよな?」


「いやいや使ってないって僕死者蘇生あんまり好きじゃないんだよね。僕が気絶させただけだよ。」


「気絶じゃと?まさかお主本気でなかったな!」


 つかさは笑顔で答える。

「いいや、本気だったよ。ただ殺さないように立ち回ってただけさ。」


「そんな余裕があったのか。わらわもまだまだだな。しかしなぜ殺そうとしないのだ?人間は我らを恐れ忌み嫌うではないか。」


「女神からは君たちを連れ出すのをお願いされたからね。殺せとは言われてないし。

 それに僕はハピエンが大好きだからさ。僕が思い描くハッピーエンドのために行っただけさ。」


「ハッピーエンドか。その言葉覚えておこう。」


「あっ時間やべえ。今日から出勤なのにっ!みんあじゃあね〜。また会おうね。」


「そなたの未来ハッピーエンドに神竜の加護と祝福を。」


 こうして人間界に神竜が目撃されるようになった。

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 お疲れ様です。

 いやあ構成を組むのに時間がかかってしまって投稿日をすっぽかすと。本当に申し訳ありません。続きが楽しみだって思っていた方本当に申し訳ありません。

 え?そんな方いないって?


(´Д⊂グスン


 できれば応援!フォロー!していただけると幸いです。次回から教師編スタート!!つかさの活躍に乞うご期待!!












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