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その頃杏くんは外には出れず着ぐるみのような寝間着を着て下宿にいた、着ぐるみならちょっと見られても笑っていられるからだそうだ。
「ごめん杏ちゃん、外の洗濯物取り込んでくれる」うちのばあちゃんの持病は腰痛である。
長い手術とリハビリ生活から戻ってきたばかりだった、そして今日は特に調子が悪かったらしい。
「はいっ」耳を着ぐるみから出しながら
杏くんは外に出た、
そしてもう夕日の落ちかけの満月。
しまった杏は満月を見てはいけなかった、一瞬杏くんそう思ったが、とき既に遅し、それは狼男の伝説を知るものなら誰でもわかるだろう。
「あれ?こうちゃん?誰?いじめられてるの?」
もちろん聴覚も視覚もワンランクあがる、そして運の悪い事に僕らの声を拾ってしまった。
「おばあちゃん!光一くんむかえにいきます
後で洗濯物入れますから」(えっ?)とばあちゃんが思った瞬間だった。
(この声はなんだこうちゃん困っている、なんで
なんにもしてないのに)走りながら僕らの小競り合いを聞いていた杏くん、でももう普段の杏くんとは変わり始めていた(どうして…僕のせい…女の子みたいだからって) 「ゆ・る・せ・な・い」
僕は杏くんと出会う迄何が起こっていたかさっぱり分からなかった、だだ狼の遠吠えの様な…音が
いや声が聞こえていた…
嫌な予感、彼の言葉がそして話してくれたトラウマ、嫌な記憶が僕の中に蘇ってきた。
「杏ってなんかすごい心配性だけど」
「なんかあったの満月も観ちゃいけないだけで3日も部屋に閉じこもるって」すると杏はバツが悪そうにポツポツと話し始めた
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