(二)-6

   ***   ***   ***


 その後しばらくは声をかけても、私たちとは目を合わせないようにしながら立ち去る人たちが多かった。

 そして昼頃になると、ようやく私たちの活動に目を向けてくれる人が現れた。

 その男性は、袖のないダウンのベストを着て金髪にヒゲ、耳にピアスをして首には金色のネックレスをした若い男性だった。

 若い男性はまっすぐこちらへやってきた。厳密に言うと私の方ではない。綾音ちゃんのところへだ。

 男性は外見と見合わない丁寧な語調だが早口で挨拶してきた、そこまでは良かったが、その先はまったくだめだった。募金にはまったく完全に一〇〇%興味がない男性だった。彼の興味は、若くて綺麗でかわいらしい綾音ちゃんにしか向いていなかった。


(続く)

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