善意の総量

筑紫榛名@12/1文学フリマ東京え-36

(一)

 善意の存在は確かに存在するのだが、残念ながら、その総量は本当にごくわずかなのかもしれない。募金箱を持って街頭に立っていると、そう思うこともよくある。

「善意は金額の多寡では決まらない」

 それは募金活動をしているラビットフットの会の現在の会長でもある、千曲さんの口グセだった。

 もともと新興宗教団体だったラビットフットの会は、信濃丸大和という教祖が、神道や仏教とその他の宗教との混交を説くという無理のある教義で信者は増えなかった。ただ、教祖の人柄が良く、彼を知る人物たちからは、教義とは関係なく慕われていた。


(続く)

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