第8話【初チュー】

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 あこさんの飼い猫に喰らった猫パンチ

 頬に出来た引っ掻き傷を消毒する為

 俺は部屋に上がることになった




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 慌てて靴を脱いで

 あこさんに ついて行く


 玄関のすぐ横に洗面と風呂があった

 とりあえず傷口を洗い

 使い捨てのペーパータオルで拭く


 呼ばれて階段を上ると

 2階はキッチンとリビング



「こっちに座って」


 濃い茶色のカーペットに

 ベージュの丸い座布団が2つ並ぶ

 長方形のローテーブルの上には救急箱

 あこさんが座布団に座り手招きする


 あこさんの前に胡座あぐらをかいて座ると

 テーブルの向こう側にいたミュウが



「ブナア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」


 一声鳴いて丸くうずくまった



「『ごめん』だって」


「え? 分かるんですか?」


「飼って長いから なんとなくね

 でも本当にごめん、すぐ消毒するね」


 あこさんが消毒とガーゼを持つと

 両膝をついてグッと近付いてくる…



(*゚Д゚)オォォ...こ、コレは



 長いまつ毛の1本1本まで

 ハッキリと見える距離



 ジィィ──(。¬д¬。)──ッ

 ここぞとばかりに近くで見てみる…


 やっぱり あこさんは綺麗だ♡


 今なら簡単にさわれそう……



 ガーゼに消毒薬を染み込ませ

 傷口に向かって手を伸ばしてくる



 意識してしまい

 俺の心臓はいつもより確実に速い



 ピタッ



「いだっ!!」


 思わず声を上げて

 ガーゼを持つ あこさんの手首を掴む



「あっ!? ごめん痛かった?」


 眉尻を下げて申し訳なさそうに謝る


 至近距離で目が合って

 息が止まりそう……


 掴んだ手を軽く引き

 俺は あこさんに顔を寄せた…




( っ¯ ³¯ )っ~♡


 フニっ♡



 初チューの感想

 あったかい…♡



 ドキドキドキドキドキドキドキドキドキ

 ドキドキドキドキドキドキドキドキドキ



 心臓が早鐘を打つ


 でも……


 見た目よりガサガサした感触

 想像とは違うもんだな……


 それになんか……

 独特の匂い……(; -"-)


 そっと薄目を開けてみる……と



 ⁄(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)⁄ !?


 至近距離であこさんが 俺を見ている


 それはもう


 シラ〜(ㅎ_ㅎ) っとした顔で……


 怒らせた!?



「ぁ…あこさん……えっと…」


(; ・`д・´)ハッ!!

 その時 俺は

 視界のはしを捉えた


  は…俺の口元へ手を伸ばす

 黒猫のミュウだった……



 そう、俺が あこさんとの初チューで



 『あったか〜い♡ あこさんの唇♡』



 なんて思っていたのは

 ミュウの肉球だったのだ……


 そりゃガサガサで変な匂いするよな…



「クウガ、手離してくれる?

 血が止まりそうなんだけど」



 手を離すと あこさんは

 ササッと消毒をして絆創膏を貼り



「はい、さようなら」


 そう言って即座に追い出された



(ノ・ω・)ノ⌒┏〇 ポイッ




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 ってな事があって……



 それからも なにかと理由をつけて

 送らせてはもらってるけど……


 もちろん玄関扉の前まで



( ´ ._.`)...

 露骨に見えない線を引かれてる



 彼女を好きだと自覚して1年以上経つけど

 未だ告白 出来ずにいる


 だけど俺だってホストの端くれ

 相手の心理を読む勉強もしてる


 嫌われてはいない

 だから諦めたりしない



「あこさん…」


「なに?」


「俺 負ける気ないんで諦めませんから」


「……( ˘•⤙•˘ ) ふーん?

 なによいきなり…挑戦状?

 なんの事か知らんけど

 上等じゃないの 頑張ってみな」


 スタスタ(((((;´・-・)

 あこさんはテーブルを片付けて

 カウンターの向こうに消えた



 ε-( ´ㅁ` ;)ホッ

 良かったぁあ…

 一刀両断されるかと思った…




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 それからまた時は過ぎ

 秋になってもまだ暑い日が続いていた


 バイトの帰りはいつものコース

 心優ミユウさんと樹明タツアキと3人で飯食って

 店の前で別れ俺は あこさんを待つ



 ガラガラ



「お待たせ、毎日送らなくていいのに

 クウガも疲れてるでしょう?」


 あこさんに近付いて目の前に立つと

 俺を見上げて首を傾げる


 他愛もないその仕草ひとつで

 胸がギュッとなって鼓動が速くなる

 どうして俺はこんなに なんだろう


 上手く伝えることも出来ないくせに

 自分でもどうしようもない感情に

 振り回されてる……



「大丈夫、若いから」


「喧嘩売ってんのかー?(๑˘・з・)ノ 」


 そう言いポスンと肩に拳を当ててくる



「(*´罒`*)エヘヘ~♡ 行こ?」


 俺たちはまだ何も始まっていない

 あこさん からは近付いてはくれない

 だから俺が諦めたら終わり


 そんなの悔しいから

 負けたくないから勝つまでやめない



 俺は を諦めない



「ダメだよ あこさん」


「ん? ……なにが?」


「俺は 毎日会いたいし

 少しでも長く一緒にいたい

 だから、どんなに疲れていても

 送るのはやめない、やめたくない

 だから送らなくていいとか言わないで」


「……(。´-д-)ハァ-

 クウガ……あのね

 私はずっと独りで生きてきたの

 そしてこれからもそのつもりなの」


「俺は、貴女がいないとか無理

 好きだから…いないとか無理だよ」


「(;///Д///)ちょっ!?

 冗談はやめてよ 私を何歳いくつだと?」


「冗談? 最初から気付いてたくせに

 知らないフリするなよ!

 年齢のせいにするなよ!

 俺が本気なこと分かってただろ?」


「(ヾノ;・ω・`)イヤイヤイヤイヤ...」


「俺、諦めないって言ったよね

『頑張れ』って言ってくれたよね?

 頑張ってるんだから逃げないでよ

 あこ のことが好きなんだよ!」


「…Σ⁄(⁄ ⁄>⁄-⁄<⁄ ⁄)⁄ウヒャア」


 あ、赤くなった!

 これは期待していいよね?



「顔 真っ赤だけど?

 俺、期待するからね…あこ」


「……ぅ…ぉ…⁄(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)⁄ぁ」


 更に接近すると

 慌てて後ろに下がろうとする彼女の

 二の腕を掴む……



 ぷにゅ



 !? ……や、やわらっけぇぞおい!!!

 Σ(  Д )ﻌﻌﻌﻌ⊙ ⊙



「ちょっとクウガ……」


 軽く仰け反り目を見開いて俺を見る

 その明るい茶色の目を


 ジッと見つめ…


 ……たいけど緊張するから少し逸らして


 でも余裕たっぷりな



「捕まえた♪」


 表面上は必死に取り繕う

 ホストやってるおかげで

 ポーカーフェイスは身に付いてる


 ドキドキしながら引き寄せて耳元で囁く



「好きな人にそんな顔されたら

 ……俺 帰れなくなるよ」



 なーんて言ってみるけど

 内心滝汗で……… (.;゚;:д:;゚;.):.,



 でもそんなのダサいし恥ずいし

 バレたくなくて

 目を合わせて笑って見せる



「なんてね……送るよ帰ろう」



 年の差なんか関係ない

 俺の心は貴女以外には動かない


 でも貴女の中に迷いや戸惑いがあるなら

 俺が全部拭い去るから逃げないで


 だって貴女も俺を好きでしょう?


 だから俺の……

 俺たち2人の


 Ideal image[理想像]を


 完成させる為に

 俺は絶対に諦めない……



「う…帰る……目眩するわ」


「うん (((* • ω•)」


 ٩(˘ 0 ˘)۶ふぁ〜ぁ

 俺が欠伸あくびをすると

 あこさんがチラッと見上げて



「眠いなら……」


 また『早く帰って寝ろ』とか言うんだろ?

 言わせないよ!(σ -`д・´)ベーッだ



「泊まっていい?」


 絶対的 NGワードで先手を打つ

 さて、何と返されるか……(•_•; )



「……いいよ」


 ∑Σ (O_O;ノ)ノ!?


 ドガシャ━━_(┐「ε:)_━━ン!!!


 ビックリして飛び上がって尻もちついた



「ちょっとクウガ !? 大丈夫?」


「転んじゃった… (; xωx)イテテ・・・」


「もう飲みすぎよ……ほら立てる?」


 あこさんが手を貸してくれる

 その手に触れながら確認する



「ねぇ本当にいいの?」


「なんの話し?」


「えっ? は? (;゚Д゚)ェェエエ工ー!?」


「( ゚∀゚)・∵ブハッ!! 」


「あ! 意地悪〜!

 前言撤回なしだからね!」



 彼女の右手の荷物を受け取り

 左手を出したら繋いでくれた


 思わずニヤけた顔を見られたけど

 彼女も微笑んでくれたから

 2人で笑いながら歩き出す


 彼女の歩幅に合わせて

 ゆっくりと歩いた






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