第17話 イフリート決着

「何だよそりゃ!?」


 ジョンが叫び、襲い掛かって来たククルの大剣とカナンの槍が火花を散らす。


―― 魔鎧【ダーク・シェル】。


 元は黒い布鎧の姿であり、魔法効果を減衰させる闇を使用者にまとわせる効果を持つ物だった。

 俺と統合された瞬間にその機能が進化し、魔力を吸収して魔法を無効化する黒霧を発生させるスキルへと変わった。


『触れる事さえ危険な毒で作られた氷の矢でも、存在自体を消せば問題ない』


 また黒い霧には敵の視界さえぎる効果もある。

 しかし便利な反面、溜めるのに時間が掛かり頻繁には使えないのが弱点だなんだよな。


『クソ魔法使い、さっきは随分とやってくれたな。覚悟はいいか』

「ちっ、根に持ってんじゃねえよ」


 さっきは全く見えなかったジョンの動きが、今はハイスピードカメラで捉えた映像のようにはっきりと見える。

 そして新しく発現したスキル『鑑定』によって、ジョンが着ているありふれた衣服に多重の防護術式が仕込まれている事も、懐から取り出した短剣が大剣並みの不可視の刃を持っている事も理解かる。


「消えろ使い魔!」


 ジョンの短剣の不可視の刃を避け、右手の手甲の先から魔剣の剣身を展開し振り上げる。

 斬り飛ばしたジョンの右腕が宙を舞った。


「速過ぎだろ!?」

Cー4シーフォー・ブロウ!』


 俺の左拳が防護術式をぶち抜き、爆音と共にぶっ飛ばしたジョンが壁に叩き付けられた。


『俺の方こそ飽き飽きなんだよ。下衆野郎げすやろうはな』

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