小説サンプル2(R18・BL)
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求めれば求めるほど欲しくなる。目の前の男の全てが、欲しくて欲しくて仕方ない。
「んっ、はぁ……」
キスの合間に息継ぎをして、何度も何度も唇を重ねる。お互いの唾液が混じり合い、口の端から零れ落ちる。そんなのが気にならないくらい、俺たちは行為に没頭し、舌と舌を絡ませ合った。
身体の奥底で熱が生まれていく。それが徐々に全身に広がって、快楽に変わる。甘い痺れが堪らなく心地いい。
「……××」
ようやく離れた唇の間に銀色の糸が引く。それを指先で拭いながら名前を呼べば、彼は満足そうに微笑んだ。
「なあに? どうかした?」
優しい声音に、柔らかい笑み。瞳の奥には隠しきれない情欲の色が見え隠れしているのが分かる。
「……なあ、もっと」
俺は××の首筋に腕を回して引き寄せた。そして耳元で囁くように言う。自分の欲求を口に出しただけなのに、なぜか媚びるような甘えた口調になってしまう。
「俺を満足させろ」
「欲張りだなあ」
××の手が伸びてきて頬に触れる。そのまま首筋を撫でられ、ゾクッとした快感に、思わず吐息が漏れる。
「欲張りなんて、お前だってそうだろ?」
「さあ? どうかな」
クスリと笑う気配を感じた次の瞬間、噛みつくような激しいキスが落ちる。ベッドの上で重なり合う。汗ばんだ肌が触れ合って吸い付くようだった。熱い息遣いだけが室内を満たしている。××の、俺より骨ばった手に触れられるだけで気持ちよくて、身体の中心にある欲望が大きくなっていく。
「あっ……」
胸の先端を強く吸われて腰が跳ねる。女みたいに膨らんでもないそこを舐めて何が楽しいんだかと思うものの、××はいつも執拗に弄ってくる。男としてどうなんだって話だが、最近じゃ少しばかり感じるようになってきているのだから不思議だ。
「んっ、ふぅ……」
舌先で転がされて時々歯を立てられる。甘く疼いてしょうがない。もう片方は指で摘まれて押し潰される。ビリっと電流みたいなものが走って無意識のうちに背をしならせていた。
「可愛いね」
顔を上げた××に見つめられて心臓が小さく鳴った。俺にしか見せない、欲望をむき出しにした雄の顔。俺だけが知っている××の顔。
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