異世界大ハズレ能力四人衆~需要無き旅~
大神律
0.カルマ
僕らは出会ってしまった。だから今、後悔している。
異世界ってここまでとち狂ってたっけ?
「おい、サダヒコ! あっちに喫煙所あるぞ!」
僕らはそこそこ大きな町の中、散策に歩いていた。
元気な声はだいたい634mくらい上から。電波塔から声を響かせているのは、タウンズという好青年――――あ、間違えた、タウンズが電波塔だった。コイツは背伸びをすると凄く背が伸びるんだ。
「そろそろ屈めよ! 目立つだろうが! やべ、誰か来たんじゃ!」
キレたのは人見知りのナカイ。俺たち以外の人が来ると、何故か地面に潜る。人見知りと言ったが、そのような性格とは思えない、地面に潜るときの奴の顔は警察から逃げる強盗犯のそれだから。
「キャー! 豚足だわ! 衛兵さん! 助けてー!」
「……ぶひ?」
町の女の子がキモイと叫び、いつものように衛兵に槍で突かれて丸くなっているのは、デームだ。
誤解のために言っておこう、デームは豚足ではない。見た目が本当に豚なのだ。二足歩行する豚なのだ、しかも身長は2mある。
ああ、どうしてこうなるんだ。
僕はうな垂れて、いつものセリフを吐く。
「あー、町を歩いただけでこうなるから嫌なんだ」
「やっぱり、三秒先の未来が見れるだけじゃ、何の役にも立たないな!」
「それより早くパフェが食べたいんじゃ!」
「……ぶひ?」
状況は整理されないまま終る。
一言でならそうだ、三秒だけ未来が見えるサダヒコ(僕)、背伸びすると塔みたいになるタウンズ、地面に潜る能力があるが恐らく指名手配されているナカイ、そして2mの豚人間のデーム。
全然一言にならなかったが、つまりはこの異世界の大ハズレ能力四人衆のドタバタな旅が始まろうとしているらしい。
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