夢ならばの景色

石崎あずさ

変わる世界


ふぅー。やっと午後の講義が終わったー!!!

家でゲームしたい気分だけど疲れがやばいから今日は帰ったら早めに寝ようかな。



ー帰宅ー

鍵を開ける。

「ただいまー!俺の家!おかえり!俺!」

俺の名前は山本英明。都内の大学に通う21歳の大学3年生だ。

突然だが誰もがふと思ったことがあるだろう。

異世界とかアニメの世界に転生したいなと思ったことはないだろうか。俺は今その妄想を毎日毎日している。

あーあの子に会いたいな。あーあの子とキスとか...

ま、そんなことは叶うわけもないんだが。

とりあえず今日はその妄想でもしながら眠りにつこうかな。


俺は深い深い眠りについた。




ー翌朝...?ー

「おはよーございます!!って、どこやここー!!!」

え?夢?夢だよね?夢やな?だめだ頬を叩いても目覚めない。現実だ。

「いつも、夢ばっか見るのに今日は現実主義者ですね。」

後ろから声がする。

俺は振り返る。そこには俺より少し下ぐらいの女の子がいた。

「あんた誰?」

「し...失礼ですね。私はアンナと申します。人間でもわかるように言いますと...神様ですかね。」

「神様が人間に何のようですか。早く天に召されてください。」

「死人のような言い方!」

その子はアンナというみたいだ。たしかドイツにいる名前だよな...

「ま...まあいいです。あなたはとりあえずここから死なない限り出れないようにしといた...」

「おう。じゃああそこの海に飛び込んでくるわ。」

「早まらないでください。続きですが、一応死なないようにはしてるはずですが...何か不調でも起きたんでしょうか、死んでも帰れなくなってしまいました。てへ。」

「てへじゃねぇよ!お前自分がやったこと分かってんのか!」

俺はアンナの両頬を引っ張る。

「お...おひふいてくだしゃい!わかりまひた!わかりまひた!だからそれをやめてくだしゃい!」

「わかった。説明してみろ。」

「まずそれ以前にあなたがここに来たのが天界のバグなんです。私たちは日々バグを起こさないように執念深く仕事をこなしてるのですが、私たちが目を離してる隙にあなたの睡眠を確認せず、死亡扱いにしてしまって...」

「お前そろそろいい加減にしろよ?」

「じゃ、そこで!」

「あ、おい!」

チッ。逃げられちまったよ。本当にアンナは何を考えてるんだか...

「何してるの?」

「あ?今度は誰...ですか?」

「ん?さっきキレてたわよね?」

「いやいや。キレてません。キレてませんよ。」

「怪しい...」

「まあいいわ!私の名前はエルヴィーラ・ラピーノ。里のみんなにはエルヴィって呼ばれてるわ。」

「俺の名前は山本英明。よろしく。」

「ん?もしかして外の人かしら?語感的に日野の人?」

「え?ヒノって何ですか?」

「日野って言うのはここの国から海を渡ったところにある国の名前よ。ここはイーノっていう国の名前。もしかして日野からいらっしゃったの?ようこそ!イーノへ!うちに来て!ご馳走するわね!」

「いやあの別に...」

「いいから!いいから!美味しい料理いっぱい揃えてあげる!好みは後で聞くね!」



ーエルヴィの家ー

「え?ここって、、、」

「そう。ここが私の家!私の家、レストランなの!」

「え?でも両親とかは...」

「大丈夫よ!親元を離れてるから!」

「俺より幼いのにもう親元を離れてるのか?最近のやつはすごいな。」

「これが私の夢だったの!両親も応援してくれてる!とりあえず、入って入って!」

「あ、あー。お邪魔します...」



「とりあえず、何食べたい?」

「うーん、、、そうだなあ。ピザとかってあるか?」

「ピザね!わかった!ちょっと待ってて!」


その時、玄関の鈴の音が鳴る。

「やっほーエルヴィ!ん?店やってねぇのに客いるじゃねぇか。なんだ彼氏か?」

「違うわよセコンダ。」

「あ、どうも。」

「よお!私の名前はセコンダ・ガッローネ!よろしくな!」

「あ。よろしくお願いします。」


「セコンダも丁度いいわね。今丁度ピザが焼けたのよ。」

「ヒデアキもお待ちどうさま!」

「ん?お前ヒデアキっていうのか?どうりで日野っぽい顔つきなわけだ!ヒデアキ、ピザもらっていいか?」

「あ、はい。どうぞ。」

「そんな堅苦しくなんなって!タメ口でいいんだぞタメ口で!」

「あ、分かった。」

「ほらこんな根暗インキャでもタメ口は使えるんだ!」

「おい...今なんて?」

「あ。気にしてるんだな。悪い。」

「その一言のおかげでお前の警戒心も取れたわ。」

「それはよかったな。」

「セコンダ!食べながら喋らない!」

「ヒデアキだって食いながら喋ってんじゃねぇか!」

「あんたの場合は口が開きすぎなのよ!ほーら!いっぱいこぼして!」

「やっぱりエルヴィは母性溢れてるよなー。ヒデアキもこういう女が好きだったりして。」

「え?そ...そうなの...?どうなの...ヒデアキ...」

エルヴィは顔を真っ赤に染めていた。

「やっぱりエルヴィにもまだ乙女心が残ってたか!」

「う...うるさいわね。」

「いいのかセコンダ?全部食っちまうぞー?」

「やめろ!ヒデアキ!私の分もちゃんと残しとけよ!」

「はいはい。」


でも、この世界も悪くはないかもな。


つづく

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