「くまとマジシャン」ジャンル:童話『くまのぬいぐるみと旅のマジシャンの物語』

第1話「グレーなくまさん」本文 (初稿:公開日 2023年3月4日 14:33)

 おもちゃの国トイ・ランドにくまのぬいぐるみがいました。

 そのくまは、心がグレーで……




 ここはトイランド。おもちゃの国。

 毎日に希望を持てないくまのぬいぐるみがいた。

 他のおもちゃ達にも心を開けず、いじめられて

 くまは心がグレー色に染まっていく。


 子供達にも遊んでもらえないとなげくくまに

 旅芸人のシルクハットをかぶったマジシャンは語りかける。

「ワタシのココロはレインボー!

 きみのココロがグレーなら

 ワタシの虹の色をあげよう!」


 くまは心配していいます。

「でも、私にくれたらあなたの色はなくならないの?」

「大丈夫だよ。やさしいくまさん」

 マジシャンはにっこり笑いました。


 それからマジシャンは毎日、くまの元へ訪れては

 くまのハートに色を入れていった。


 今日は赤、明日は青、今度は何色がいい?

 くまはだんだん楽しくなってきました。


 そして最後の七色の色がくまのハートに宿った時。

 くまのグレーだったハートが虹色に輝き

 くまは嬉しくて踊りだしたいような気持ちになりました。


 そんなくまを見てマジシャンはすっと、手を差し出し言います。

「くまさんワタシとダンスをしてください」

 くまはマジシャンとダンスを踊りだしました。



 最初はぎこちない動き、でも徐々に自然な動きへと

 マジシャンのエスコートで踊ります。

「ありがとう!ステキなマジシャンさん」

 ――嬉しいな。くまとワルツだ。ルンタッタ。

 グレーなくまさん虹色になった――



 くまとマジシャンはくるくるまわりながらいつまでも踊りました。

 くまさんは少しずつ子供達からもおもちゃたちからも

 可愛がられる存在になっていきました。


 その後のくまとマジシャンは一緒にお茶をしたり、出かけるようになりました。

「くまさん。お茶美味しいね」

「マジシャンさん。このシフォンケーキも美味しいよ。食べてみて」

 シフォンケーキを一口くれる。くまにマジシャンは、自分のチョコケーキを一口あげました。くまとマジシャンは、楽しいお茶会を楽しみました。



(終わり)




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る