勇者の真実
グリムるろーニキ
第1話 目が覚めると
眩しい太陽の光とざわざわとした人々の話し声で目が覚めた私は変な夢を見ていた。
視界に広がるのは青空、ベッドから起き上がって見渡すと、ベッドの周囲を少し離れて囲む動物の皮のような服を着た集団が私を見て、驚きと恐怖の混ざった声が聞こえる最悪の目覚めだった。
(おかしい、ここはどこだ?私は家の中で寝ていたはず…)
私はすぐ横になって布団を頭まで被り目を瞑るが、残念ながらこれは夢では無かった。
少しして目を瞑るのを諦め、布団の隙間から周囲を観察するが、明かに私の住んでいた国では無かった。
人混みの間から見えたのは、地面に刺さった数本の木の枝に動物の皮を被せただけのような家がいくつも集まった村だった。
いつまでもベッドの中に居たかったが、太陽の光によってベッド内の温度は上昇し、汗だくになった私は堪らずベッドから出た。
風が汗に当たる涼しさと、靴下越しの土を足で感じて、これが本当に夢ではない事を私は理解し少し絶望した。
そんなベッドから急に出た私を、周囲に居た子供達は怖がって家の方へ逃げて行ったが、大人達は怖がりながら石と木でできた武器を私に向けた。
私は突然向けられた武器に驚いて動けなくなった。
そこへ、逃げる子供達の流れに逆らうように白髪のおじいさんが1人やって来て、近くに居た人に何かを話しかけ事情を聞いているようだったが、私にはその言葉は全く理解できなかった。
仲間との会話が終わり、おじいさんは私に話し掛けた。
おじいさん「あなたは私達の願いによって呼ばれたようだが、私達と共に生活し魔族や魔物と戦ってくれますか?」
話している言語は全くわからないのに、内容だけは伝わってくる。
そんな不思議な感覚に驚きながら、私はその質問に肯定しなければ命は無いと思い、自然と日本語で「はい」と答えていた。
なぜかその言葉が通じたようで、おじさんは周囲に何か呼び掛けると、それを聞いた人々は構えていた武器を下ろしてそれぞれ動き出し、私の寝ていたベッドを安全確認した後に数人で持ち上げて運んで行った。
運ばれて行くベッドの下の地面には大きめの魔法陣らしい形に線が引かれていたのを私は見ていた。
近くまで歩いて来たおじさんに私は握手を求められ、握手を終えた後におじさんが近くに居た女の子に何か話しかけると、その女の子は私の手を強引に掴み、どこかへ向かって急いで歩き始めた。
私は手を引かれながら、その女性に話しかけてみた。
私「あの…」
女の子「あなた、名前は?」
優「優です」
ティータ「私はティータ、あなたに私達の事を色々教えるように言われてるから、まずはあなたの寝床に行きます」
優「…はい」
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