二話 見つけた改善点
他にも手伝えることは無いか探そう。しばらくここに滞在しなくてはいけないだろうし。ただ、ここの領地は極めて安定しているように見える。一見簡単な石造りの街みたいだが、中は迷路みたいになっているし、燃えたりしなそうだ。崩れる事はあるかもしれないけど。
「特に変わったこともないし」
強いて言えば…変な臭いがするぐらいかな。なんだろう…腐敗臭みたいな感じの…。まぁ、気のせいだろう。多分、下水とか何かだと思う。どれだけ整備されていても、たまに臭ってきたりするし…うん。ただ、下水とかを整えたい、とか要望されても分からないなぁ…別にインフラに携わってたわけじゃないし。
「あ、あの…」
「どうしまし…た?あ、あの時の!」
「ひっ…ごめんなさい。」
「なんで謝るの?そんなに怖そうに見えますかね?」
「いえ…そうではないんですけど…」
ギルドまで案内してくれた、おどおどした羊の獣人にまた出会った。こんなに大きい盾を装備しているのに、何を怖がっているんだろう。それは、いいか!さっきのお礼を言わないといけないな~…何か、プレゼントみたいなものがあればいいんだけど…。
「お礼をしたいのですが、何かありますか?」
「いえ…特には…お役に立てたなら…良かったです。」
まぁ、そうだよね。いやぁ…街を案内してほしいな、なんて思っていた下心を悟られてしまったのかな。見て回るにも限界があるし、ここに住んでいる人からの案内があればもっと楽に出来るんだけど…。
「困った事とかないですか?」
「特には…ないですかね…?」
そもそも、インフラは出来ないとして、それ以外で何かを手伝うって結構限りがあるよな。う~ん…困ったな。露天の商品を買った感じ、別に問題は無かったから食べ物にも問題はないはずだし。そういえば、この子はさっきから何をしているんだろうか?
「さっきからこの辺りをふらふらして何をしているの?」
「あ…あぅ…特に何も…」
「狩人なんでしょ?」
「そうなんですけど…あの…」
「仲間は居ないの?」
「いない…です。」
「居ない?!」
「ひっ?!」
大きな盾を持った女の子が一人で狩人…?!ゲームで言えば、盾はタンクだよな…。決定力に欠けると思うんだけど。何か他に武器みたいなものを使っているのか…?小柄で俺より身長が頭二つぐらい小さいから…150ぐらいかな?盾…でかすぎない?
「誰も…組んでくれなくて…」
「ああ、そうだったのか」
「はい…そう…です。」
「おどおどしてるからかな?少し弱そうに見えるもんね」
「そう…ですよね。」
やべ…失敗したわ、完全に。コミュニケーション能力の欠如が…今になって…。どうも思ったことをすぐに口にしてしまう欠点があるな。この前も、王様相手に言いそうになったし。炎上の原因…これじゃね?はぁ…どうやって直したらいいかね…。
「ところで何か用事があったのかな?」
「いえ…特に無かったんですけど…気になりました…。」
愛の告白を受けているのかもしれない、んなわけないか。気になります、言われてどう返事すればいいんだろうな?とりあえず…何か誘った方がいいんだろうか?
「じゃあ…飯でも食べる?」
「いい…ですか?」
「おいしい店ってあるかな?」
「どんなもの…です?」
「肉かな?」
「肉…やめた方がいいかもしれないです…。」
な、なんだ?あ、羊だからあれかな?草食だから肉は食べないとかそういう感じかな?ごめん、配慮が足りなかったな…。でも、ここは狩人が頻繁に出入りしてそうだし、美味しい物が売ってそうじゃない?
「ごめん、配慮してなかったね」
「あ…ち、違くて…美味しくないんです。」
「美味しくない?!そんな馬鹿な?!」
肉料理ってどこで食べても美味しいんじゃないの?!確かに、たまに自分の好みに合わない店もあるけど…それでも、美味しいと思う人は居るだろ!野菜の方がいいかな…。いや、肉が美味しくない理由が気になるな。なんだろう。
「どうして美味しくないの?」
「臭い…です」
「俺が?!」
「ち、違くて…肉が…です」
あ~…腐ってるのか。塩漬けとかの概念とかなさそうだし。そもそも、獣人の領土だからな~。腐肉食の動物だって居るだろう、正直、動物の方がよっぽど消化能力は高いし。なるほど、街のこの変な臭いは肉の腐った臭いか…ここまで広がるとか相当重症じゃないか?
「相当…やばいんじゃない?」
「はい…お腹壊します…。」
「うわぁ…加熱すれば大丈夫な人が多いの?」
「食肉中心の人…なら…?」
一度…見て見るか。状況を確認したいし、食べれそうなら…食べてみたい。腐りきった肉は嫌だけど、肉は腐りかけが美味しいって聞くし。挑戦してみてもいいかも。
「案内してくれないかな?そういえば自己紹介してないね、俺はオーキチ、君は?」
「メェル…です。食べるなら…止めないです…けど。」
困った顔してるな。食べてみたいと思っちゃったからしょうがないよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます