膳所

佐原マカ

高校

 高校生になったとき、はじめてスマートフォンを買ってもらった。スマートフォンは携帯電話だが、大半の高校生は電話をするために使うことはほとんどなく、ゲームをしたり、YouTubeをみたりすることに用いることが多かった。例に漏れず、私もそうだった。


 その頃くらいからコロナ禍の影響もあってか、音楽をサブスクで聴くことが流行った。私もそうするようになった。Apple Musicにはランキングみたいなものがあってクラスの友達はみんな、日本のランキングみたいなのを聴いていた。


 私はみんなと違うことをするのがかっこいいような気がして日本ではなく世界のランキングを聴きながら登校していた。どうやら世界はHIPHOPが流行っているらしい。私は聞き心地が良いとは思わないものの聴いていた。


 みんなと違うことを、ということから始めたことだが次第に習慣になり、気がつけばHIPHOPの曲にもはまっていた。日本のHIPHOPの曲も聴くようになった。そして彼らの歌詞のなかでたびたびでてくる「大麻」という言葉に興味を持つようになった。


 彼らはインスタライブやMusicVideoでおもむろに大麻を吸っていた。その衝撃もあるだろうが、大麻という言葉には日本のランキングを聴いているような人では一生出会うことのないだろうというところに惹かれたような気がした。何か煙を吸って吐き出すという行為をしてみたいという気持ちになった。


 受験勉強で忙しかったから、その気持ちを実行に移そうという気にはなれなかった。私は中途半端なところでまじめだから悪いことにも良いことにも振り切ることをしなかった。いつも埋もれていた。外に興味があったけど、集団からはみ出ることが怖かった。

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